新興市場見通し:全般上値重く値動きや需給で銘柄選別、令和最初のIPOも

市況
2019年5月25日 15時01分

先週の新興市場では、マザーズ指数は800pt台後半でのもみ合いが続いた。週半ばまでは日経平均が21000円台前半でこう着感を強め、短期の値幅取りを狙う個人投資家の物色がバイオ関連などのマザーズ銘柄に向かう場面も見られた。しかし、週末にかけて米中摩擦激化の懸念から新興市場でも投資家心理が悪化した。マザーズ時価総額上位銘柄は軟調な展開が続き、物色の矛先が小型株に向かったことも指数の上値の重さにつながった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.6%であったのに対して、マザーズ指数は-0.9%、日経ジャスダック平均は-0.3%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で6.2%安、ミクシィ<2121>が同1.5%安と軟調で、サンバイオ<4592>は同0.3%高にとどまった。売買代金上位ではオンコリスバイオファーマ<4588>やアンジェス<4563>といったバイオ関連の一角が売り優勢。また、前の週に上昇が目立ったアドベンチャー<6030>や、年初来安値更新となったシェアリングテクノロジー<3989>が週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、導出薬の試験結果が好感されたそーせいグループ<4565>は同21.5%高、月次売上の好調が続いたラクス<3923>は同14.3%高となり、イーエムネットジャパン<7036>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力ではワークマン<7564>が同1.0%高となったものの、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同5.4%安、セリア<2782>が同10.3%安と軟調だった。セリアはレーティング引き下げの動きが観測されている。売買代金上位ではUTグループ<2146>やメイコー<6787>が売られ、新株予約権発行による資金調達を発表した日本一ソフトウェア<3851>が週間のジャスダック下落率トップとなった。反面、シンクレイヤ<1724>や地域新聞社<2164>が活況を見せ、主力事業売却を発表したオンキヨー<6628>が上昇率トップだった。

今週の新興市場では、マザーズ指数は上値の重い展開が続きそうだ。米政権による中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)排除の動きなどから、米中対立の影響がハイテク企業に及び始め、個人投資家も慎重姿勢を強めている。短期物色は比較的活発だが、株式相場全体の地合いの影響を受けやすい銘柄や、潜在的な売り需要の大きい銘柄は敬遠されやすい。値動きの強い銘柄や上値の重しがない直近IPO銘柄に物色が集中するだろう。

足元ではトビラシステムズ<4441>やグッドスピード<7676>といった直近IPO銘柄が上値追いの展開となっており、昨年12月に上場した自律制御システム研究所<6232>も高値更新となっている。なお、今週は5月27日にウチダエスコ<4699>、30日にACCESS<4813>、31日に東和フードサービス<3329>、はてな<3930>などが決算発表を予定している。はてなは前四半期まで好調に推移しており、今回の第3四半期決算も注目されそうだ。

IPO関連では、5月30日にバルテス<4442>がマザーズへ新規上場する。およそ1カ月ぶり、かつ令和最初のIPOとなる。ソフトウェアテストを中心としたサービスを手掛けており、公開規模が小さいこともあって初値期待が高まっているようだ。また、先週は新日本製薬<4931>(6月27日、マザーズ)など5社の新規上場が発表されており、6月のIPOは現時点で11社まで増えている。

《FA》

提供:フィスコ

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