【植木靖男の相場展望】 ─ トランプ大統領はどう動く?
「トランプ大統領はどう動く?」
●二番天井を確認、壊れ相場の様相
東京市場は再び厳しい下げ相場に直面している。5月30日の日経平均株価は本年3月25日の安値2万977円(終値ベース)をついに下回った。
すでに、TOPIXが3月安値を割り込んでいることから、いずれは、と予想していたが…。
いうまでもなく、3月25日の安値を下回ったことで、4月25日の2万2307円が昨年10月の一番天井に対し二番天井であることが確認された格好となった。
また、5月中旬以降のもみ合い、すなわち、下げ相場での中段のもちあいが思ったより短いというリスクにさらされている。
ここへきての下落テンポは、まさに下げるというより“壊れた”との印象が強い。昔から上昇は“石垣を積むが如し”、また下落は“皿が割れるが如し”とされているが、そうした壊れ相場に似た商状と見て取れる。
それにしても、4月から5月にかけての2万2000円前後の天井もみ合いが、いわゆる“離れ島”になったことは、今後、反騰局面を迎えるときの大きな足かせになりそうだ。
●株安がトランプ大統領を痛撃
ところで、世界の株式市場を仕切る米国市場はどうか。日本株同様、フシである5月13日安値2万5324ドル(終値ベース)をこれまたあっさり下回ってしまった。これで、18年1月天井からみて、いわゆる三尊天井の示現を確認してしまった。今後、米国株安に続いて新興国市場、先進国市場などが軒並み軟化方向に向かうことになろう。
これまで、景気の現状は決して悪くない、との見方が株価を支えてきたが、そうした楽観論はもはや通用しないとみたい。たとえば、日本株の時価総額は18年10月のピーク時点で680兆円。ところが、この5月には586兆円と100兆円も消えている。うち、個人は20%とすれば、個人の懐から20兆円が失われた勘定になる。今後、消費増税を控え、消費への影響は無視できない。逆資産効果を考慮すべきである。
とはいえ、株価とは不思議なもの。今回の株安で最も痛手を受けたのはトランプ米大統領ではないか。彼は株高を選挙民にアピールしてきたからだ。となると、なんらかの株価回復策を検討せざるを得ないはず。米中貿易協議あるいは金融政策で具体的なものが出てくる公算もあろう。
ということを期待すれば、6月相場は大きな下落は回避できるかもしれない。おそらく勝負どころは、むしろ7月相場か。果たして吉と出るか、凶と出るか。暑い夏にしんどい話である。
さて、当面の物色の流れは、下げ相場ではこれまで考えられていた好業績銘柄ほどリスクが大きいことを知るべきだ。ここまで株価を支えてきたファーストリテイリング <9983> がどこで下げ止まるかに注目したい。
出直りをみせるアンリツ <6754> やMonotaRO <3064> などはいかがか。
2019年5月31日 記
株探ニュース