TOKAI Research Memo(1):グループ顧客基盤の拡大進み、2020年3月期も最高業績を連続更新する見通し

特集
2019年6月5日 15時51分

■要約

TOKAIホールディングス<3167>は、静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を展開する総合生活インフラ企業。「Total Life Concierge」(暮らしの総合サービス)構想※1の実現に加えて、2019年3月期より次世代につなげる新たなサービス技術の活用「ABCIR+S(アブサーズ)※2」を2つ目のテーマとして取り組みを開始し、M&A戦略も推進しながら更なる飛躍を目指している。

※1 Total Life Concierge構想:同社グループが提供する様々なサービスにより、顧客の快適な生活を総合的、かつきめ細やかにサポートし、顧客満足度の向上を目指すビジョンのこと。

※2 アブサーズ:同社グループの技術革新へ向けた戦略のこと。AI(A)、Big Data(B)、Cloud(C)、IoT(I)、Robotics(R)、Smart Phone(S)の頭文字をつなげた造語。

1. 2019年3月期の業績概要

2019年3月期の連結業績は、収益基盤であるグループ顧客件数が前期末比26千件増加の290万件と順調に拡大したことにより、売上高で前期比3.0%増の191,600百万円、営業利益で同19.0%増の13,057百万円と過去最高業績を更新した。売上高はガス及び石油事業、情報及び通信サービス事業、CATV事業と主力事業が揃って増収となった。利益面では、高気温や仕入コスト上昇の影響で減益となったガス及び石油事業を除き、すべての事業セグメントで増益となった。会社計画比で営業利益は約9億円の未達となったが、ガス及び石油事業の高気温、仕入コスト上昇による24億円の減益要因を除けば実質上振れて着地している。

2. 2020年3月期の業績見通し

2020年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.8%増の200,800百万円、営業利益で同8.5%増の14,170百万円と2期連続で最高業績を更新する見通し。来期以降の成長を見据えて「ABCIR+S」関連の投資や人材投資の増加で合わせて19億円のコスト増を見込む一方で、グループ顧客件数の拡大(前期末比10万件増の300万件)による月額課金収入の増加や、ガス及び石油事業における仕入コスト低減等による収益改善効果でカバーする。なお、M&Aについて候補案件の精査を行っているが、業績計画には織り込んでいない。

3. 中期経営計画(IP20)

中期経営計画(Innovation Plan 2020 “JUMP”)では2021年3月期に売上高で3,393億円、営業利益で225億円を目標として掲げている。グループ顧客件数はM&Aを積極活用しながら432万件以上に拡大していくほか、顧客の複数サービス契約率※を2019年3月期末の17.8%から20%に引き上げることで、1顧客当たり収益の最大化を目指していく。顧客件数はオーガニックで2020年3月期末300万件を目指していることから、中期経営計画を達成するためにはM&Aの成否が鍵を握ることになる。同社はCATV事業、ガス及び石油事業、情報及び通信サービス事業のほか新規事業などをM&Aのターゲットとし、1,000億円規模の投資枠を設定し検討を進めている。

※複数サービス契約率=(サービス総契約件数÷顧客数)-1

4. 株主還元策

株主還元については、継続的かつ安定的な還元を維持していく方針に変わりはない。2020年3月期の1株当たり配当金は28.0円(配当性向44.6%)と前期比横ばい見込みだが、今後も配当性向40~50%を目安に収益動向や資金需要を勘案しながら配当を実施していく。株主優待ではアクア商品やQUOカード、1,000円相当の「TLC会員サービス」のポイントなど複数の候補品から1つを3月末、9月末の株主に贈呈している。株主優待も含めた単元当たり総投資利回りを現在の株価水準(2019年5月24日終値892円)で試算すると4.3~7.7%※となる。

※株主優待をQUOカード、またはアクア商品で選択した場合。

■Key Points

・顧客件数が順調に増加、2019年3月期は過去最高業績を達成

・2020年3月期は「ABCIR+S」戦略や人材投資を強化し、成長基盤を確立する1年と位置付ける

・中期経営計画(IP20)ではM&Aと「ABCIR+S」戦略の推進により、成長を加速していく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

提供:フィスコ

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