米国株式市場見通し:4-6月期決算シーズンに突入
雇用統計では、非農業雇用者数が前月比22万4千人増と予想を大幅に上振れ、金融当局による利下げに懐疑的な見方が広がった。雇用統計は遅行指標と捉える向きもあるが、株価も最高値圏で推移しており、利下げ論拠が弱まっている。今週以降は、経済指標に加えて4-6月期決算発表シーズンを受けた企業業績に投資家の関心が集まるだろう。
今週は、10日にFOMC議事録が公表される。6月のFOMCでは政策金利は据え置かれたものの、当局者の約半数が利下げを支持していることが示された。足元の米景気についてどのような議論がなされたのか注目したい。さらに、同日にはパウエルFRB議長による議会証言も開催予定だ。1-3月期GDP確報値が予想と一致し、雇用統計が上振れるなか、7月の利下げを示唆する発言を行うかが焦点となる。
決算発表では、飲料メーカーのペプシコ(9日)、航空大手のデルタ航空(11日)などの発表が予定されている。ファクトセット社の調査によれば、4-6月期のS&P500構成銘柄の利益は、3日時点で前年同期比2.6%の減益が予想されている。素材や情報技術セクターの不振が見込まれる一方で、公益事業やヘルスケアセクターの成長が見込まれている。
経済指標は、5月卸売在庫(10日)、6月消費者物価指数(11日)、6月生産者物価指数(12日)などの発表が控えている。12日は、中国の6月貿易収支の発表も予定されている。今週は、生産者物価指数や消費者物価指数などインフレ関連指標が多く発表されるが、雇用統計で平均時給の伸びが予想をやや下回り、インフレ圧力の後退が意識されたことから注目を集めそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ