明日の株式相場戦略=FOMC前に模様眺め、個別は強いチャートにつく
週明け29日の東京株式市場は商い低調のなか続落。米国株市場でハイテク株比率の高いナスダック総合指数が最高値を更新したが、この波動を伝播させる役割を担う海外マネーが不在で、米国にキャッチアップするような雰囲気が残念ながら今の東京市場にはない。
7月30~31日の日程で行われるFOMCに世界の視線が向いており、東京市場も何はともあれその結果を見極めてというところ。25ベーシスの引き下げは100%織り込み済みとはいえ、約10年ぶりの政策金利の引き下げとなれば、それなりのインパクトがある。FRBが今後も段階的に利下げを行うという方向性もほぼ担保されており、米国株市場は「押し目は買いで対処」というコンセンサスに変化はなさそうだ。
ただし日本株は、流動性相場の波に乗れていないのは日々の売買代金をみれば明らかだ。企業の4~6月期決算が予想されていたとはいえ、今のところ厳しい内容であることが確認され、米国発の金融相場の波及を心待ちにしながらも、当面は逆業績相場を意識せざるを得ない環境に置かれている。
そうしたなか、今月19日を境に大きく買われていた半導体関連が前週末で上昇一服となったことで、柱となる物色対象が目先は見当たらなくなった。もっとも、アドバンテスト<6857>などは前週25日に700円高はストップ高に買われる人気となった後、上値はさすがに重くなったとはいえ、売り物を吸収して値を保っている。これは凄いことだが、上げ潮相場ならばともかく、現在の閑散相場のなかでアドバンテを軸に半導体関連を追撃するのは目先的には若干無理がある。
中小型株ではチャート重視の戦略で「強いものにつく」を実践したいところ。にわかに動意含みのオリコン<4800>は要マーク。7月中旬は調整を入れていたが、25日移動平均線をサポートラインに弾むようにリバウンド、目先は上値指向が強い。来週初に4~6月期決算発表を控え、これはフタを開けてみなければ分からないが、信用倍率は0.5倍台、日証金でも株不足状態で逆日歩がついている。光通信<9435>が大株主に入っていることや8月末までの日程で上限30万株の自社株買いを実施中。株式需給面では買いに分がある。
また、底値圏で浮上の兆しをみせているのがエクストリーム<6033>。ちょっと前であれば仕手系材料株というネーミングがシックリくるような銘柄だが、きょうで7連騰。これだけ連日強い動きを示して浮上の兆しというのは憚(はばか)られるものの、昨年7月下旬からの1カ月間で株価を8倍以上にした強烈な上昇パフォーマンスを記憶にとどめている投資家にとっては、今の値運びは瀬踏みの段階に過ぎないのでは、との思惑も働く。
内容重視ならば引き続きシステム情報<3677>の強さが際立つ。16年9月期以降の売上高と利益の伸びをみれば、特筆に値する成長株であることが理解できる。人工知能(AI)を活用したコグニティブサービスやRPA、クラウド、情報セキュリティなど、およそ今の時流に乗るテーマを「全部乗せ」したようなソフト開発会社で、業績変化率以上に今後の成長期待が株高の原動力となっている。このほか、業態はやや違うものの人材に重心を置いたセラク<6199>などもAI・IoTのデパートのような銘柄で直近の株価の強さに反映されている。
日程面では、あすは日銀の金融政策決定会合の2日目で金融政策の発表と黒田総裁の記者会見が予定されている。また、6月の鉱工業生産や6月の失業率・有効求人倍率などが発表される。海外ではFOMC(~31日)のほか、7月の米消費者信頼感指数も発表される。(中村潤一)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)