開封率9割、2段階認証で利用広がる「SMS関連株」は株高シグナル発信中 <株探トップ特集>

特集
2019年8月1日 19時30分

―メッセージ送信に新しい風、配信サービス手掛ける企業などにビジネスチャンス―

7月に、セブン&アイ・ホールディングス <3382> のスマートフォン決済サービス「セブンペイ」で不正利用の被害が発覚したことを受けて、「SMS」への関心が高まっている。SMSとは「ショート・メッセージ・サービス」の略で、携帯電話の電話番号宛てに短いテキストメッセージを送信でき、本人確認のための「2段階認証」などにも利用されている。サービスを提供する側の企業は、セキュリティー強化のために「2段階認証」を導入するケースが多く、それに伴いSMSの利用が広がっている。また、認証だけではなく、企業からのさまざまなマーケティング活動に用いられることも多く、需要は更に拡大することが期待されている。

●電話番号でメッセージを送信

SMSとは、NTTドコモ <9437> やKDDI <9433> 、ソフトバンク <9434> など各キャリアのスマートフォンやガラケーなどに標準搭載されている機能で、送れる文字数に制限があるのが特徴。ただ、電子メール同様、ドコモからau(KDDI)、auからソフトバンクなど異なるキャリア同士でもメッセージが送受信できるようになっている。

電子メールに比べると送信できる文字数が少なく、プリインストールされているものだけでは画像などが送信できないため、情報量としてはかなり少ないが、電話番号さえ知っていればメッセージのやり取りができる手軽さが魅力となっている。また、「LINE」「Skype」など他のメッセージアプリは送る側・受け取る側双方がアプリをインストールしている必要があるが、SMSは電話番号さえ知っていれば良いという手軽さもある。

最近では知らない番号からの電話には出ない人や、若者層を中心に日常生活では電子メールをほとんど使わないという人が増えており、企業は顧客と連絡を取りづらくなっている。また一般的に、企業からの電子メールの開封率は10%前後といわれているのに対して、SMSはメッセージが受信ボックスに埋もれることが少ないので開封されやすく、開封率は9割以上ともいわれている。SMS自体は以前から使われているが、企業が顧客へメッセージを届ける効果的な手段として、改めて需要が高まっている。

●手軽な個人認証手段として普及広がる

更に、セブン&アイの問題で関心が高まったように、2段階認証でも注目が高まっている。

これはさまざまなネットサービスで新規登録や設定変更を行った際に、最終確認を行うためのURLや一時的なパスワードがSMSとして届くというもので、例えば銀行などでは、ログイン時の本人確認や残高通知、出金確認、自動引き落としの事前通知サービスなどに活用されている。また、ネットショッピングでもパスワード設定・変更の際の本人確認に利用されている。

SMSによる2段階認証のシステムのメリットとしては、電話番号にメッセージを送るため確実に届き、受信ボックスに埋もれにくいことから、認証しやすいということがある。また、キャリアとの直接接続で配信を行うため信頼度も高い。

仮に、IDやパスワードが流出して第三者に使われてしまったとしても、パスワードの変更などが実行されたときに自分の携帯電話に確認のメッセージが届くことで不正に気がつきやすいということもある。今後も有効な個人認証の手段として、SMSの利用は更に広がりそうだ。

●アクリートなどに注目

SMSに関連する銘柄としては、前述のキャリア各社などがあるが、ほかに配信サービスを手掛ける企業がある。

その代表格であるアクリート <4395> [東証M]は、配信数で国内最大規模を誇るSMS配信サービス大手。7月17日に発表した第2四半期のSMS配信数は前年同期比7.4%減となったものの、国内市場向けでは人材サービスや国内大手IT企業などでの利用が増加し、前年同期比90.9%と大幅に伸長した。海外では、GAFAに代表される一部のグローバルIT企業のSMS配信で、価格競争により一部採算割れが発生し、配信数を減少させたが、キャッシュレス決済サービスや配車アプリの個人認証手段などでの利用は増加しているという。

fonfun <2323> [JQ]は、会社や家のパソコン宛てに届くメールをスマホやガラケーから閲覧・送信できる「リモートメールサービス」が主力だが、「fonfun SMS」として、プル型の「らくらくナンバー」、プッシュ型の「いけいけナンバー」、システム組み込み用の「いけいけナンバーAPI」の3つのサービスを展開している。既にホテルや不動産、クリーニング、美容室など700社以上にサービスを提供しており、最近では18年3月に提供を開始したSMSを利用したアンケート収集システム「アンケートつなぐ君」の導入企業数も増えているという。

また、メールマーケティングとの連動が特徴のSMS配信システム「WEBCAS SMS」を展開するエイジア <2352> や、100%子会社ネクスウェイが「SMSLINK」サービスを展開し、フィンテック業界での認証サービスでも50社以上の納入実績があるTIS <3626> なども関連銘柄として注目されよう。

一方、最近は東京五輪のチケット抽選に関係があると見せかけた偽のSMSが送られていたことがニュースとなったが、こうした迷惑SMSを防ぐことで、関連銘柄として注目されているのが、トビラシステムズ <4441> [東証M]だ。同社の「迷惑SMSフィルタ」は、独自のアルゴリズムにより収集・分析した迷惑メールデータベースを活用し、詐欺につながるテキスト情報を含むメールやSMSをフィルタする。大手通信キャリアや格安スマホに採用されており、今年2月時点で月間約2300万件のメールやSMS情報を収集・分析し、2万5000件以上の迷惑メールデータベースを構築している。

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