【杉村富生の短期相場観測】 ─ 8月下旬には転機が訪れるタイミング!
「8月下旬には転機が訪れるタイミング!」
●NYダウ並みのPBRでは8万円?
夏相場は期待のサマーラリーとはならず、逆に閑散商状に陥っている。しかし、深押しは考えにくい。パウエルFRB議長は今回の利下げ(0.25%)について、「予防的措置」を強調、「利下げサイクルに入ったわけではない」とコメントしている。これはNY市場にとっては“失望”だが、為替は円安に振れ、日本市場の下支え要因となる。
現在、日経平均株価の1株利益(予想)は1789円、1株純資産(実績)は2万114円だ。PERは12倍前後、PBRは1倍ちょっとに過ぎない。一方、NYダウ平均のPERは17倍を超え、PBRは4.1倍となっている。日本株は大幅に出遅れ? そう、その通りである。
仮に、日経平均をNYダウ並みに評価すると、PERでは3万円台に乗せ、PBRでは何と8万2000円がらみとなる。まあ、あくまでも遊び感覚の単純計算だが……。それに、PERが上昇するには需給と人気の改善が不可欠だろう。PBRはROEとの相関関係が強い。ROEを上昇させるには企業のタメ込み主義を改める必要があろう。
ROEについては、企業の経営姿勢は徐々に変化しつつある。需給と人気は8月後半には「米国株買いの日本株売り」のロング&ショート戦略の巻き戻しが見込め、回復に向かうと思う。9月に入ると、10月の消費税率引き上げへの対応として、財政出動(景気対策)が話題となろう。
●野村HDはいよいよアク抜けか?
さて、ここでの投資戦略は、短期・順張りでは引き続いて強い銘柄を攻める、これがセオリーだ。具体的には好決算の日本エム・ディ・エム <7600> 、トーカロ <3433> 、デクセリアルズ <4980> はどうか。商い面を考慮すると、野村ホールディングス <8604> が面白い。昨年来、バッシングを受け続けてきたが、ここはアク抜けと判断できる。
長期・逆張りでは、ダイセキ環境ソリューション <1712> が狙い目だ。社名が示しているように、ダイセキ <9793> 系の汚染土壌の調査、処理を行う企業である。ダイセキが発行株式数の53.8%を保有している。“毛並み”は良好である。
首都圏・近畿圏を中心に、大規模開発が進められている。道路、鉄道、トンネル工事も多い。その際、 汚染土壌の処理が不可欠だ。特に、工場跡地は重金属が埋まっている。リニア中央新幹線のアルプス縦貫トンネルは自然由来の重金属が出現するのではないか、と危惧されている。
すでに、同社は岐阜市に30億円を投じ、リサイクルセンターを建設中だ。今年後半には完成する。株価は600~700円の安値ゾーン(週足参照)でのもみ合いとなっている。ここは仕込みの好機だろう。
2019年8月1日 記
株探ニュース