極東貿易 Research Memo(5):新中期経営計画をテコに“成長の壁”を打開し進歩的飛躍を目指す(1)

特集
2019年8月8日 15時05分

■中期経営計画と成長戦略

1. 前中期経営計画「KBK2016」のレビュー

前々回の中期経営計画(KBK2013)では「収益力の強化」と「株主価値向上」を、前回の中期経営計画(KBK2016)では「事業領域・収益力の強化」と「人財戦略の強化」を掲げ、確実に企業成長と収益改善・拡大を達成してきた。2つの中期経営計画を通して、売上高は約261億円増収(+62.5%)、営業利益では約5.4億円増益(2倍)まで改善・拡大した(数値は、2011年3月期と2019年3月期の売上高、営業利益を比較した)。やはり、2011年からのM&A(7案件)実行による事業領域の拡大が功を奏している。

中期経営計画「KBK2016」では、前中期経営計画「KBK2013」の高業績(2016年3月期売上高66,237百万円、営業利益1,203百万円)を前提に、持続的成長(2019年3月期の経営目標:売上高70,000百万円、営業利益1,600百万円)を目指したが、中国経済の減速による極東貿易<8093>の中核事業である「ねじ関連(ヱトー)」事業並びに「樹脂・塗料」事業の売上拡大に急ブレーキがかかった。そして、注目事業として期待していた「国内海洋資源探査・掘削関連」は、国の科学技術イノベーション(海洋エネルギー・鉱物)関連予算が大きく削られ、探索船の補修・メンテナンスに止まった。さらに、もう1つの注目事業である「軽量ケーブル」は小型航空機向けに採用は内定していたが航空機商業運航の度重なる延期で、未だ納品に至っておらず、ラグジュアカーへの採用が決定したが量産は1年延期(2020年3月期納入予定)となり、実需に至らなかった。結果的に、今回のチャイナリスク2019(中国経済の減速)や注目事業の受注先送りなど想定外リスクへの対応ができていれば、成長軌道からの乖離を最小限に食い止められたかもしれない。

2. 新中期経営計画「KBKブレイクスルー2023」の概要

同社は11年前の経営危機を乗りこえ、成長戦略を“オーガニックグロース”から“M&Aグロース”へギアチェンジし、受注拡大にひたすら邁進してきた。前中期経営計画(「KBK2013」と「KBK2016」の通算6年間)でも一定の成果を上げてきたことは前述したとおりである。

しかしながら、自動車業界では「百年に一度の大変革」と言われるように、企業を取り巻く環境(社会・環境・技術・業界)は大きく変化しており、マクロトレンドの予測と緻密な対応は必要不可欠となっており、また、同社の「事業ポートフォリオの最適化」も最重要経営マターとなっている。

同社は今年4月より新経営体制(岡田義也新社長就任)となり、同社の次の10年に向けて、「全体最適」、「長期的展望」、「社会貢献」の視点から企業をリ・デザインしようしている。計画期間も、従来の「3ヶ年」から「5ヶ年」へ伸ばし、2024年3月期を見据えた中長期の経営計画となっている。また、計画名「ブレイクスルー」には、次の5年間を「打開」するために、「進歩的飛躍」を遂げたいという意味が込められている。

そして、同社の価値観である経営理念は「ニーズとシーズの橋になる」に、経営ビジョンは「社会に+1(Plus One)を提供する企業集団へ」に制定し、社内外へ情報発信している。

今回は詳細な計画は公表されていないが、“企業成長基盤づくり”の5年間として、堅実な目標数値が掲げられている。

主な経営目標は以下のとおり。

・連結経常利益…25億円

・ROE…8%

・総還元性向…35%以上

・自社株買い…発行済株式数の10%程度(1~2年以内) 資金力の視点から時価総額100億円の10%を目安

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)

《MH》

提供:フィスコ

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