為替週間見通し:ドルは弱含みか、米9月大幅利下げの思惑残る

通貨
2019年8月10日 14時31分

【先週の概況】

■ドル弱含み、米中貿易摩擦長期化に対する警戒感高まる

先週のドル・円は弱含み。米中貿易摩擦の長期化に対する警戒感が再び高まり、一時105円27銭までドル安・円高に振れる場面があった。米ドル高・人民元安が急速に進んだことを受けて米国財務省は8月5日、中国を為替操作国と認定したことを発表し、米中対立の激化懸念が広がった。中国人民銀行が6日に発表した人民元の中心レートは市場の想定よりも元高の水準に設定されたことから、米ドル高・人民元安の急速な進行に対する警戒感はやや低下したが、トランプ米大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)に対して金利引き下げを繰り返し要求していることから、ドルの上値は再び重くなった。

9日のニューヨーク外為市場でドル・円は、105円85銭から105円27銭まで下落した。

トランプ大統領は「米国は現状で中国と貿易協定合意する準備はない」と述べたことや、、中国の通信通信機器大手ファーウェィと取引しない方針を確認したため、ドル売り・円買いが活発となった。その後、大統領の発言に関して米当局者が、「大統領のファーウェイとのビジネスに関する発言は政府機関による調達禁止のみに言及したもの」との見解を伝えたことから、リスク回避のドル売りは一服。ドル・円は105円68銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:105円27銭-107円09銭。

【今週の見通し】

■ドルは弱含みか、米9月大幅利下げの思惑残る

今週のドル・円は弱含みか。人民元の値動きに神経質な展開となりそうだ。各国中央銀行は金融緩和策を強化する姿勢を見せており、米連邦準備制度理事会(FRB)による9月大幅利下げに思惑が広がりやすい。米国経済指標が悪化した場合、リスク回避のドル売りが強まる見通し。米トランプ政権は中国を為替操作国に認定し、当面は日々の人民元の中心レートが注目される。ただ、中国政府は大規模な資本流出を招く恐れがあるとして、大幅な人民元安は回避したいとみられる。人民元相場がドル安・元高方向に向かえば市場の警戒感は和らぎ、リスク回避の円買いは弱まろう。

しかしながら、主要国から新興国まで、各国中央銀行は緩和的な金融政策スタンスに傾いており、米FRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50ポイントの大幅利下げに踏み切るとの観測が広がっている。ドル・円は105円台で国内勢を中心に押し目買いが入りやすいものの、トランプ大統領はFRBに対して金融緩和を呼びかけており、ドル高の影響を懸念していることから、ドル・円は年初来安値の104円台が視野に入りそうだ。

【米・7月消費者物価指数(CPI)】(13日発表予定)

13日発表の7月消費者物価指数(CPI)は前年比+1.7%、同コア指数は前年比+2.1%とインフレ率は前回並みの水準が予想される。FRBによる9月大幅利下げが観測されるなか、物価上昇率が市場予想と一致すればドル売りはやや後退する見通し。

【米・7月小売売上高】(15日発表予定)

15日発表の7月小売売上高は前月比+0.2%と、6月の同+0.4%を下回る見通し。市場予想を下回った場合、個人消費減退の思惑が広がり、リスク回避的なドル売りがやや強まる可能性がある。

予想レンジ:104円50銭-107円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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