【植木靖男の相場展望】 ─ 10年来高値更新銘柄の威力

市況
2019年8月11日 9時15分

「10年来高値更新銘柄の威力」

●暴落“終盤期”に差し掛かる

日経平均株価は7月いっぱい、7月2日高値の2万1754円(終値ベース)を抜かんと再三再四、買い方は全力を挙げて高値突破を目指したが、それはかなわず、ついに8月に入って刀折れ矢尽きて急落している。

この下げは暴落相場といってもよい。そして目下、6月安値の2万408円の安値を巡って売り方、買い方の激しい攻防戦が続いている。

ところで、暴落相場は崖崩れと同じで3段階に分かれる。まず初期は、パラパラと木くずや小石が崖を落ちる。しかし、中盤になると一気に土砂や木が崖を滑り落ちる。株価でいえば、窓を開けて急落する。しかし、この段階から次は終盤を迎える。一見、静かになるが地盤が緩んでいるため、じわじわと崩れる。まさに大名行列よろしく、下に下にと株価は水準を下げていく。

この期間が意外に長いのだ。短くても1ヵ月は優にかかる。

では、いまはどの段階にあるのか。大雑把にいえば、終盤期に入るところとみている。

材料的に見てどうか。米中貿易戦争がこれまでの株安の背景であったが、いまや為替戦争へと戦線が拡大してきた。中国もしたたかである。1ドル=7元突破を容認している。各国も通貨安を狙っている。我が国も例外ではない。1ドル=106円処は限界とみている。この水準を死守するために公的年金が米国債を購入している、との噂もある。中国が米国債の売却をほのめかしているなか、我が国が米国債を買うのは日米ともウィンウィンであるはず。

さて、米中戦争による景気悪化を防ぐため、また、株価を意識して米国は利下げに走ろうとしている。だが、皮肉にもここへきて利下げはむしろ株安要因になってきている。当たり前である。いまの株価の位置は逆業績相場の真っ只中にあるのだ。利下げしても効果はないのも当然である。

●高まる不確実性、チャートを重視すべきとき

こうしたなか、株価は世界的な下落相場にある。ときに反発しても、なかなか買いシグナルが灯ることはないとみる。

では、いま注目されている米中貿易戦争が劇的に決着をみせたらどうか。また、なんらかの要因で金利が急騰したらどうなるか。悩みはつきない。ただ、念頭に置く必要はありそうだ。いずれにしても、あまりにいまの市場環境は不確実性が高い。材料というよりも罫線(チャート)をより重視するときのように思われる。

当面の物色はどう見るか。いまのような下げ相場でも、日々50~60銘柄の年初来高値更新銘柄がある。こうした環境下でも高くなるのは、やはり、それなりの人気、材料があるからだ。

なかでも、10年来の高値更新銘柄はより注目されてよい。おそらく、10年前に比べ企業変革が進み、時代に合った新しい製品を生み出している、または生むと予想されているからだ。

今回は、10年来の高値を更新したNEC <6701> に注目。5Gが材料か。次いで内需の陸運株の中から、出遅れの富士急行 <9010> だ。富士急ハイランドの入園料無料は大胆だ。富士登山鉄道構想も面白い。このほかでは日本新薬 <4516>医薬品株のなかでは出遅れたが、自社開発薬で業績を押し上げ16円増配は立派だ。

2019年8月9日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.