植木靖男氏【リスクオフ再び、減速する世界経済と円高の逆風】(1) <相場観特集>

特集
2019年8月13日 18時30分

―日経平均2万円大台を維持できるか、今後の行方を占う―

3連休明けとなった13日の東京株式市場は前日の米株安を受けて日経平均株価が一時2万400円を割り込む水準まで売り込まれる展開となった。世界的な景気減速に対する警戒感が根強いなか、為替のドル安・円高が買い手控えムードを助長している。7月は2万1000円台で頑強な値動きをみせていた日経平均だが、8月相場は思いのほかリスク回避ムードが強い。この地合いはいつまで続くのか。そして、株式市場が注視せざるを得ない為替相場の動向は。先読みに定評のある市場関係者に今後の見通しを聞いた。

●「要警戒局面、大勢底入れは9月下旬頃か」

植木靖男氏(株式評論家)

日経平均はなかなか戻り相場に乗り切れない。きょうの時点では6月4日につけた終値ベースの安値2万408円は下回らず、首の皮一枚残した形だが、これでリバウンド局面に移行するような状況の好転は見込めそうもない。外国為替市場ではリスクオフの円高基調が続いており、個人的には1ドル=100円ラインに向けて更に円高が進む公算が大きいと考えている。世界的な通貨安競争のなかで、トランプ米大統領もまた本音の部分でドル安を望んでおり、緩和政策余地の少ない日銀の足もとをみた円買いの動きが続きそうだ。

米株市場の変調も明らかとなっている。世界景気減速という“株売り”材料がここにきて再び存在感を大きくしているほか、香港のデモ激化という地政学リスクがアルゼンチンの株暴落など新興国に波及した形となり、日米や欧州などの先進国市場ものん気に構えていられなくなった。

東京市場では日経平均が当面は下値を探る展開で、これから徐々に下げ足が強まるのではないか。要警戒局面といってよい。大勢底入れとなるのは9月下旬頃とみており、それまでに1万9000円ラインを割り込むような深押しも覚悟しておく必要があると思う。その後は戻り足に転じても11月に2番底をつけに行く展開が想定され、10月の中間反騰局面で2万1000円前後までの戻りが精一杯ではないかと考える。

個別株物色で乗り切るよりほかはないが、物色セクターとして有利なのは陸運業界。特に京浜急行電鉄 <9006> や富士急行 <9010> などの電鉄株が相対的に強さを発揮しそうだ。また、“相場は相場に聞け”で、こういう時に強い値動きを示している銘柄は、業態を問わずそれなりの理由があり注目に値する。10年来高値を更新しているアドバンテスト <6857> や過去最高値圏を走る第一三共 <4568> などは継続マークしたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)

慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌更に講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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