石川久美子氏【リスクオフ再び、減速する世界経済と円高の逆風】(2) <相場観特集>

特集
2019年8月13日 19時45分

―日経平均2万円大台を維持できるか、今後の行方を占う―

3連休明けとなった13日の東京株式市場は前日の米株安を受けて日経平均株価が一時2万400円を割り込む水準まで売り込まれる展開となった。世界的な景気減速に対する警戒感が根強いなか、為替のドル安・円高が買い手控えムードを助長している。7月は2万1000円台で頑強な値動きをみせていた日経平均だが、8月相場は思いのほかリスク回避ムードが強い。この地合いはいつまで続くのか。そして、株式市場が注視せざるを得ない為替相場の動向は。先読みに定評のある市場関係者に今後の見通しを聞いた。

●「米中情勢注視の展開、いったん下落後に反発も」

石川久美子氏(ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部 シニアアナリスト)

8月に入りドル円相場は、それまでの109円前半から105円台へと急落した。この要因としては、米トランプ大統領が中国に対する第4次制裁関税を発動することを表明し、これを契機に両国は報復に向けたチキンレースに陥ったことが大きいだろう。米国による制裁関税発動を受け、中国は国有企業に米国農産物の輸入停止を要請した。これに反発した米国は中国を為替操作国に認定。さらに、中国人民元の元安の動きが鮮明となった。ただ、中国金融当局は人民元の基準価格の切り下げに関して、マーケッに対してショックを与えないように配慮している姿勢はみえる。

13日には、一時105円割れ目前まで急激な円高・ドル安が進行した。このなか、当面のドルの下値は今年1月3日につけた104円87銭、その次は昨年3月26日につけた104円56銭がメドとなる。そして、ここを割り込めば16年11月につけた101円20銭が下値となるが、相当大きな悪材料が出ない限り101円台までの急落はないだろう。

当面の今後1ヵ月程度のレンジは104円00銭~107円00銭を見込む。乱高下のなか、下値を試した後に上値を探る動きを予想している。

足もとのドル円の水準は104円半ばまで距離はあまりないが、105円を割り込まなければ107円近辺まで相場は戻ってもおかしくないだろう。

ユーロドルはイタリア情勢などが焦点だが、当面のレンジは1ユーロ=1.10~1.13ドルを予想する。基本のトレンドは横ばいを見込むが、イタリアなどの状況次第では若干下値を試すこともありそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(いしかわ・くみこ)

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社。外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として外国為替相場の調査・分析。レポートや書籍、ブログなどの執筆、セミナー講師、テレビ、ラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

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