来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米貿易交渉閣僚級協議、米FOMC議事要旨、ジャクソンホール会合

市況
2019年8月17日 19時12分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限20750-下限19900円

来週の日経平均は、上値の重さを意識しつつも、戻りを試す展開となりそうだ。12年ぶりに米国で10年債と2年債の金利が逆転する「逆イールドカーブ」が発生し、景気後退の懸念が広がり、NYダウは14日に今年最大の下げ幅を記録した。しかし翌日には小幅ながらも反発し、日経平均も6日安値20110.76円を割り込まず一定の底堅さを発揮している。株価純資産倍率(PBR)1倍水準となる日経平均20000円は強い下値ラインとして働いている。米国の長短金利が逆転しても必ず景気後退に陥るわけではなく、現段階で企業業績が極端に下押しされるとの予想も出ていない。むしろ、通商政策や世界経済の下振れリスクを踏まえ、米国で9月17-18日開催予定の連邦公開市場委員会(FOMC)における追加利下げが意識され始めている。米国市場が落ち着きを取り戻せば、東京市場にもリバウンドの機会が巡ってこよう。4-6月期にマイナス成長となったドイツで財政出動を巡る報道が出てきたこともマーケットにとってはプラス材料だ。一方、需給面を見ると、国内外の機関投資家は10月の消費増税を前にある程度、日本株のポジションを落としているため、大きく売り込む圧力はそれほど強くないともみられている。今週は22日に米7月CB景気先行総合指数の発表があるものの、それ以外で米中の主要経済指標の発表予定はないことから、波乱の芽は限られている。日経平均は3週連続の下げで、下げ幅が1200円超に達していることもあり、お盆休み明けで市場参加者が増えるタイミングであることも踏まえれば、リバウンドを試す場面がありそうだ。波乱要因があるとすれば、18日で夏休みを終えるトランプ米大統領の発言と、24日からの主要7カ国(G7)首脳会議で中国と西側諸国の不協和音が生じる可能性にある。また、積極的に買い上がる材料に欠けることも確かで、日経平均は上値の重さが改めて意識されるだろう。そのため、物色的には引き続き好業績、好材料を手掛かりとした個別物色が中心となりそうだ。

主な国内経済関連スケジュールは、19日に7月貿易統計、7月首都圏新規マンション発売、21日に7月訪日外客数、22日に6月全産業活動指数、23日に7月消費者物価の発表が予定されている。一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールは、21日に米7月中古住宅販売件数、7月30-31日のFOMC議事要旨、22日に米7月CB景気先行総合指数、米経済シンポジウム「ジャクソンホール会合」(24日まで)、23日に米7月新築住宅販売件数、24日にG7首脳会議(26日まで、フランス・ビアリッツ)が予定されている。

■為替市場見通し

来週のドル・円は弱含みか。米国経済の減速に思惑が広がりやすいなか、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や当局者の講演などで連邦準備制度理事会(FRB)の9月以降の金融政策を探る展開となりそうだ。米国はリセッションに向かうとの見方が広がっており、米国の経済指標がこれまで以上に注目される。直近の消費者物価指数(CPI)や小売売上高などは市場予想を上回ったが、今後発表される経済指標が低調な結果となった場合、景気腰折れの見方が強まるだろう。

毎年この時期に開催されているジャクソンホールでの会合では、金融当局者の発言が特に注目されている。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)は8月23日に講演を行う予定となっており、利下げ継続の考えが示された場合、年初来安値の104円80銭やトランプ政権発足後の最安値104円56銭がドル・円の下値目途として意識されそうだ。

トランプ政権は、対中制裁関税第4弾の9月発動について、一部品目に対する関税賦課を延期する柔軟姿勢を示しており、リスク回避的な取引はやや減少した。ただ、貿易問題などを巡る米中対立の早期解消への期待は高まっていないため、米中貿易摩擦の長期化を警戒した円買いが当面ドルの下押し要因となろう。

■来週の注目スケジュール

8月19日(月):日・貿易収支、タイ・GDP、ユーロ圏CPI、仏ロ首脳会談など

8月20日(火):国際ゲーム見本市「ゲームズコム」(24日まで)、伊・コンテ首相が上院で演説など

8月21日(水):南ア・消費者物価指数、米FOMC議事要旨、日米貿易交渉の閣僚協議など

8月22日(木):日・製造業PMI、日・工作機械受注確報、米独欧の各種PMI、ECB議事要旨公表など

8月23日(金):米・新築住宅販売件数、米パウエルFRB議長がジャクソンホール会合で講演など

《SK》

提供:フィスコ

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