【村瀬智一が読む!深層マーケット】 ─ 膠着続くか? 居心地良い日経平均2万0500円処
「膠着続くか? 居心地良い日経平均2万0500円処」
●注目のFOMCを控えて模様眺めムード強まる
米中貿易摩擦への警戒感が根強く、方向感の掴みづらい相場展開が続いている。日本株市場は米国株の流れを引き継ぐ格好から先物主導によるギャップスタートに始まり、日中は狭いレンジでの膠着相場が続いている。そのため、日経平均株価は大きく上昇(あるいは下落)しても商いは膨らまず、東証1部の売買代金は連日で2兆円を下回る状況である。
8月はお盆休みや第1四半期決算等の影響もあっただけに、9月相場入りで商いが膨らむことに期待したいところではある。とは言え、景気後退リスクが警戒されて世界的に金利低下の流れにある中、9月中旬に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げを見極めたいとの思惑から模様眺めムードは強まりやすい。FOMCを前にして市場の関心は9月6日発表予定の8月の米雇用統計に集まりやすいだろう。
国内需給面では9月13日に先物・オプション清算指数算出(メジャーSQ)を控えている。高水準に積み上がっている裁定売り残に関心が向かうだろうが、オプションの建玉からは、日経平均2万1000円超えでショートカバーが期待される一方で、2万円割れでは下へのバイアスが強まりやすい。
米中協議の確実な進展などのサプライズが無いと2万1000円突破は厳しいと考えられる。半面、2万円処はPBR1倍水準でもあり、割安意識から売り込みづらい。そのため、足もとの2万0500円を挟んだ水準での居心地が良さそうである。
●物色は内需よりか、需給面に着目して注目銘柄を選定
物色としては内需寄りになりそうであるが、IT企業など政府が推し進める IoT、 5Gといった分野で成長がみられる銘柄は、選別物色の対象になりやすい。また、主力大型株はリバランス中心ながら、需給妙味の大きい銘柄などには、買い戻しが意識される。テーマ株で強いトレンドを形成している銘柄のほか、日経平均の2万円処での底堅さが意識される中、9月末に向けた配当志向の物色も次第に話題になろう。
注目銘柄であるが、こうした中から今回は需給面に着目した銘柄を中心に選定した。
◆JVCケンウッド <6632>
信用倍率は8月23日時点で1.11倍と取組に厚みが増している。悪質な「あおり運転」が社会問題化する中、自民党は交通安全対策特別委員会を27日に開催。あおり運転を処罰する規定を新たに設ける方向で検討すると伝えられており、ドライブレコーダーを展開する企業への手掛かり材料になる。
◆ZOZO <3092>
株価は6月安値1639円をボトムにリバウンドし、8月22日には一時2293円まで上昇。5月高値(2300円)とのダブルトップ形成から足元で調整をみせているが、上昇トレンドの下限レベルまで調整してきたことで、仕切り直しに期待。信用倍率は0.39倍と売り長の需給状況であり、需給妙味がある。10月の日経平均定期銘柄入れ替えを控え採用候補に挙げられていることも、押し目拾いに向かわせよう。
◆鎌倉新書 <6184>
6月発表の第1四半期決算を受けて成長鈍化懸念から利食いに押される局面もみられたが、保ち合いを経て、8月以降は強い基調をみせている。信用倍率は0.53倍と売り長の需給状況であり、買い残高は6月時点から半減し、需給は大きく改善。成長が加速しているWEBサービスでは、第1四半期で「お墓」「葬祭」「仏壇」の3事業とも30%を超える成長をみせている。
◆プレステージ・インターナショナル <4290>
自動車事故・故障時の対応を保険会社などから請け負うロードアシストが主力だが、「あおり運転」が社会問題化するなかで、トラブル対応のロードアシストの需要が高まろう。また、コンタクト事業に特化したITインフラを提供しているが、クラウド化によって事業成長が期待される。
◆MonotaRO <3064>
建設業・製造業・自動車整備業向け間接資材のネット通販を手掛けており、主力の中小企業のほか、大手企業においても顧客を増やしている。足もとの業績では7月の月次売上高が前年同月比25%増と順調。信用倍率は2.59倍だが、前週の4.42倍から取組に厚みが増してきている。
2019年8月29日 記
株探ニュース