富田隆弥の【CHART CLUB】 「平均線と10月のアノマリー」

市況
2019年9月28日 10時00分

◆環境問題を訴える16歳の少女トゥンベリさん(スウェーデン)が話題になっているが、香港の学生といい世界でいま若者たちが動き出している。争点や論点はそれぞれで、大人たちにしてみれば異論もあろうが、ただ、戦後74年を経て環境も政治・経済も、世界のあらゆるものが「戦後」から「変革」すべき時代に来ていることを感じずにはいられない。環境大臣に就任した小泉進次郎(38歳)も話題性は十分で、批判を浴びることも多いが、この国の変革を担う筆頭の人材であることは間違いなく、早くリーダーをやらせてみたいと考えてしまう。

◆さて、10月。世界のマーケットが注目するのは「米中協議」の行方となろう。ただ、世界同時金融緩和の再開でマーケットは過去に例のない超過剰流動性の只中(ただなか)にあることを忘れてはなるまい。株式市場は高値圏を維持するが、12年前のサブプライムショック前を上回る規模のカネ余りと過剰債務という現状は、何かをキッカケに「ショック」が起きかねない状況でもある。そして、「10月」といえばブラックマンデー(1987年10月19日)など幾度となくショック安を起こしたことがある月だけに、注意しておきたい。

◆中国が米国の農産物を大量に購入し、トランプ大統領は「合意は想定より早期に実現する可能性ある」とツイートし、マーケットは米中協議の進展・合意に期待を募らせている。だが、これまで米中両国は「期待」と「物別れ」を何度も繰り返し、トランプのツイートはころころと変わり、マーケットはその都度振り回されてきた。果たして10月の閣僚級協議はトランプのツイート通りにいくだろうか。

◆ここ2週間の株式市場は足踏みしている。日経平均株価は19日高値の2万2255円から、 NYダウは12日高値の2万7306ドルから調整が続く。どちらもそれまでの上昇が急ピッチであったため、ここは当然のスピード調整と言えるだろう。NYダウは24日に2万6704ドルまで調整するが、日足チャートでは2万6620ドル近辺でゴールデンクロスする25日移動平均線と75日線のまだ上にあり、ここから切り返すなら7月の過去最高値の更新も十分に可能だ。その時には米中協議も「合意」していよう。

◆だが、もしNYダウが調整を深めて「2万6620ドル」を割り込むなら、スピード調整ではなく本格調整のリスクが台頭してくる。中国建国70周年の「10月1日」を前に香港情勢が悪化する、あるいは「10月1日」を通過して米中が再び強硬姿勢に転じて協議が物別れになれば、本格調整入りが否定できない。10月はこのリスクシナリオを孕んでいる。

◆日経平均の日足を見ると、25日、75日、200日という移動平均線が2万1200円台に集まり「ゴールデンクロス」を演じた。「二重のゴールデンクロス」として注目する新聞記事を見かけたが、いまのように時価(2万2048円)と移動平均線が800円(3.7%)も離れているときは株価と移動平均線が「サヤ寄せ」することを考えておかねばならない。8月上旬のときはこの逆で、3本の移動平均線が2万1350円処に集まり、株価は1000円下に離れていたが、9月になると株価が移動平均線にサヤ寄せして突き抜けて行った。株価と移動平均線には「離れると近づき、近づくと離れる」という習性がある。この先、株価が移動平均線を突き抜けるかは不明だが、サヤ寄せすることは想定しておきたい。

(9月26日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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