【杉村富生の短期相場観測】 ─ ソフトバンクに振り回される日経平均!
「ソフトバンクに振り回される日経平均!」
●EPSがないのに、なぜPERが出る?
改めて述べるまでもないことだが、日本経済新聞のマーケット総合覧には株価指標ごとのPER、PBR、配当利回りなどが掲載されている。しかし、1株利益、1株純資産の項目はない。これは自分で計算する必要がある。
日経平均株価の場合、1株利益(EPS)は1663円(予想ベース)だ。ちなみに、実績ベースは1766円である。5.8%減益となる。1株純資産は2万380円(PBRは1.15倍)と算出される。
1株利益がないのに、どうしてPERを算出しているのか。これは“簡便法”を採用していることによる。計算法は「(225採用銘柄の時価総額)÷(最終利益の総額)」だ。この結果、最終利益のブレの大きい企業の影響を強く受ける。日経平均の場合はソフトバンクグループ <9984> だろう。
なにしろ、同社の2019年3月期の最終利益は1兆4111億円。20年3月期は大幅減益(会社側予想は非開示)が見込まれる。このマイナス寄与度は大きい。このためPERは高く出る。
実は、もっと極端なのが東証2部(全銘柄)のPERだ。何と、予想ベースのPERは36.3倍、実績ベースは6.4倍である。東証2部市場は「大幅減益なのか」。表面的にはそうなる。しかし、これはちょっと違う。その理由は東芝 <6502> [東証2]にある。
東芝の19年3月期の最終利益は1兆132億円だった。しかし20年3月期は、会社側は最終利益の予想を開示していないが、大幅減益が見込まれている。この差が東証2部のPERを押し上げている。決して割高ではない。むしろ、個別に見ると割安な銘柄がゴロゴロしている。青山財産ネットワークス <8929> [東証2]のPERは16倍だ。19年12月期の配当は11円増の50円とする。
●割安株を丁寧に拾う戦術が有効!
株価指標(日経平均、TOPIXなど)はその特性を理解する必要がある。要するに、あまりインデックスに振り回されてはいけない、ということ。まあ、日本株が出遅れているのは確かだが……。
ちなみに、PBRはNY市場(S&P500ベース)が3.15倍、世界平均が2.15倍に買われている。単純に、日経平均をNY市場並みに評価すると、6万4197円(2万380×3.15)、世界平均では4万3817円(2万380×2.15)となる。いや~、史上最高値(1989年12月29日の3万8915円)など「ひとまたぎ」ではないか。
いやはや、夢のような話には違いないが…。ここは足もとを見つめ、割安のブロードリーフ <3673> はどうか。1株利益は19年12月期は32円予想、20年12月期については40円と予想する向きもある。今、来期とも最高益となろう。筆頭株主はアメリカの投資銀行だ。外国人持ち株比率は38.4%に達する。
nms ホールディングス <2162> [JQ]はPER10倍と出遅れている。21年3月期ベースではPER7~8倍にすぎない。いずれ、見直されるだろう。
2019年11月29日 記
株探ニュース