富田隆弥の【CHART CLUB】 「三角保ち合い上放れが焦点、手仕舞い売りも出やすい年末」

市況
2019年12月14日 10時00分

◆12日のNYダウ平均は寄り付き直後から急伸、313ドル上げ、2万8224ドルと過去最高値を更新(ザラ場ベース)。そして、日経平均先物3月限も夜間取引で2万3720円まで上げた。焦点の米中交渉で「中国製品に課している約3600億ドル分の関税を撤廃、15日に発動予定の対中追加関税を見送る」と米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じ、トランプ米大統領も「大きな取引が近い」とツイート。投資家は米中合意が大きく前進することを好感した。

◆だが、NYダウは高値示現から1時間後に2万8000ドル割れまで上げ幅を縮める。約3600億ドル分に課している関税を「最大50%引き下げる案も」とロイターが伝えたこともあるが、最高値を付けたあと急速に値を消した動きは気になる。

◆米国では12月中旬からクリスマス休暇に入る投資家が少なくなく、株式市場はこの時期に「手仕舞い売り」が出やすい。12日の大引けは前日比220ドル高の2万8132ドルに戻したものの、多くの投資家が固唾を飲んで見守っていた米中協議にひとまず答えが出て、相場が高値を更新したことで一旦、手仕舞いの売りが出てきたことも否定できない。

◆もちろん、高値を打ったかどうかはまだ分からない。この最高値(2万8224ドル)をさらに更新するような強さを見せるなら、2万8500ドルを目指す可能性はある。だが、2万8224ドルでピークアウトするようだとクリスマスにかけて手仕舞い売りが加速し、NYダウは年末年始に向け調整色を強める可能性も出てくる。つまり、相場の大きな焦点であった「米中交渉」が一定の結論に達した(詳細は執筆時点では未確認)ことで、ここからはNYダウの動く方向が大きな焦点になってくる。

日経平均株価は三角保ち合いを煮詰めている。チャートはそこからの放れが焦点で、三角保ち合い上限の2万3600円水準を突破して「上放れる」のか注目される。そうなればアベノミクス相場の高値2万4448円(昨年10月)を目指してもおかしくない。ただし、上放れたとしても「手仕舞い売り」も出やすく、三角保ち合いの下値抵抗線を忘れずに見ておきたい。現在、下値抵抗線は25日移動平均線と同水準の2万3330円付近を走っているが、この先それを割り込むことがあれば「調整入り」を覚悟することになる。

◆NYダウを中心に世界同時株高となり高値圏に来ている相場だ。上値追いの展開が続くのは大いに結構なことだが、買いに片寄り過ぎていることも否めず、NYダウ、日経平均とも上昇基調に亀裂が入ると需給に乱れが生じることを想定しておかねばならない。

(12月13日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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