為替週間見通し:ドル・円は伸び悩みか、FRBのハト派姿勢がドル買い抑制も

通貨
2019年12月28日 15時06分

【先週の概況】

■ドルは下げ渋り、リスク選好の円売り継続

先週のドル・円は下げ渋り。12月23日発表の11月米耐久財受注速報値は予想外のマイナスに落ち込み、11月新築住宅販売件数が予想を下回ったことから、米長期金利の低下に伴いドル売りが一時優勢となった。一方、中国が「来年1月1日から850品目の輸入関税率を引き下げる」と発表したことを受けて、米中通商協議の進展が期待されており、リスク選好的な円売りも観測された。米国の年末商戦は堅調と報じられたことも円売り材料となった。

27日のニューヨーク外為市場では、ドル・円は一時109円59銭まで買われた。米国債利回りの低下を意識したドル売りが観測されたが、ユーロ買い・円売りの取引が活発となった関係でリスク回避のドル売り・円買いは拡大しなかった。ドル・円は109円44銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円31銭-109円68銭。

【今週の見通し】

■ドル・円は伸び悩みか、FRBのハト派姿勢がドル買い抑制も

今週・来週(12月30日-1月10日週)のドル・円は伸び悩みか。米国株式は堅調に推移しているが、米連邦準備制度理事会(FRB)の2020年の金融政策運営はハト派寄り(緩和的な金融政策を維持)との見方が強まれば、リスク選好的なドル買いは抑制されそうだ。米中通商協議で両国首脳は1月中に会談し、第1段階合意の署名を行う見通し。米中貿易摩擦の解消に向けた動きが好感され、ドルを押し上げる要因となりうる。ただ、年明けに発表される12月ISM製造業景況指数は、経済活動の拡大・縮小の節目である50を下回る見込み。市場予想を下回った場合、企業景況感の回復の遅れを嫌気してリスク選好的なドル買い・円売りが広がる可能性は低いとみられる。

一方、12月10-11日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が1月3日に公表される(日本時間4日)。FRBは同会合で市場の予想通り政策金利の据え置きを決定。米国経済に関して緩やかなペースで拡大しているとしたものの、2020年に向け金利据え置きを示唆している。金利引き上げに慎重な意見が多くみられた場合、追加利下げへの思惑が再浮上し、ドル売り要因となろう。

【米・12月ISM製造業景況指数】(1月3日発表予定)

1月3日発表の米12月ISM製造業景況指数は49.0と、11月の48.1から小幅に改善が見込まれる。ただ、節目の50を下回ると予想されており、製造業の業況が大幅に改善する見込みは薄いことから、リスク選好的なドル買いは抑制されるとみられる。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(1月3日公表予定)

12月10-11日開催のFOMC会合で政策金利の据え置きが決定された。FOMC声明やパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長会見で示された2020年中の金利維持の姿勢が改めて意識され、ドル買いは弱まる見通し。

【米・12月雇用統計】(1月10日発表予定)

1月10日発表の12月雇用統計は、失業率3.5%(前回3.5%)、非農業部門雇用者数は前月比+16.8万人(同+26.6万人)、平均時給は前年比+3.1%(同+3.1%)と予想される。雇用者数は前回の反動で減少が見込まれるものの、想定内ならドル売りは限定的か。

予想レンジ:108円00銭-110円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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