新興市場見通し:新年相場入りで資金流入に期待、ジモティーなどIPO発表
先週の新興市場では、マザーズ指数が大きく上昇した。クリスマスを挟んで海外投資家の取引参加が減り、東証1部市場の売買は低調。日経平均も動意に乏しい展開となり、大きな値幅を狙った個人投資家の物色がマザーズ銘柄に向かった。12月上場銘柄の回転売買も徐々に落ち着き、既存の銘柄に資金還流したようだ。マザーズ指数はおよそ半月ぶりに900pt台を回復。また、日経ジャスダック平均は週末にかけて連日で年初来高値を更新した。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.1%であったのに対して、マザーズ指数は+4.0%、日経ジャスダック平均は+1.7%だった。
個別では、メルカリ<4385>が週間で4.8%高、そーせいグループ<4565>が同4.8%高となるなどマザーズ時価総額上位は全般堅調。Sansan<4443>は同9.8%高と大きくリバウンドした。売買代金上位ではJTOWER<4485>やマクアケ<4479>といった直近IPO銘柄が買い優勢。また、政策の追い風への期待からITbook HD<1447>が物色を集め、週間のマザーズ上昇率トップとなった。反面、直近IPO銘柄でもフリー<4478>やスペースマーケット<4487>は利益確定売り優勢で、業績下方修正を発表したトゥエンティーフォーセブン<7074>が下落率トップだった。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同9.1%高、東映アニメーション<4816>が同10.2%高と大きく上昇。ワークマン<7564>は高値もち合いで同0.7%高となった。売買代金上位では協和エクシオ<1951>などとの資本業務提携を発表したネクストジェン<3842>が急伸。ソレキア<9867>は1週間で株価がおよそ2.3倍となった。反面、ダイヤ通商<7462>などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。IPOでは5社が新規上場し、WDBココ<7079>が公開価格の2倍超、AI inside<4488>とスポーツフィールド<7080>が3倍超の初値を付けた。
今来週の新興市場では、名実ともに新年相場入りし、投資家の取引再開とともに本格的な資金流入が見込まれる。年初来高値圏の日経平均や日経ジャスダック平均に対し、マザーズ指数はなお出遅れ感が強い。IPOラッシュや年末要因の売りが一巡し、株式需給の改善も期待される。なお、日本の連休中には米中経済指標の発表などが予定されているが、米中貿易合意への期待が投資家心理を支えるだろう。
今来週は、1月10日にウエストHD<1407>、ブロッコリー<2706>、エルテス<3967>、エクスモーション<4394>、エヌ・ピー・シー<6255>、SERIO HD<6567>などが決算発表を予定している。年末年始には先端技術に関する特集が各種メディアに掲載され、関連銘柄への関心も高まりやすい。IPO空白期間に入り直近上場銘柄にも物色の矛先が向かいやすいところだが、過熱警戒感との綱引きになりそうだ。
IPO関連では、コーユーレンティア<7081>(2月7日、ジャスダック)、ジモティー<7082>(2月7日、マザーズ)の新規上場が発表されている。2020年最初のIPOとなる見込み。全国の無料広告の掲示板サイトを運営するジモティーは知名度が高く、投資家の関心を集めそうだ。なお、19年は86社が新規上場し、このうち76社で初値が公開価格を上回った。公開価格に対する初値の騰落率は平均で+85.3%となった。
《HK》
提供:フィスコ