明日の株式相場戦略=波乱も一巡、強い個別株につく相場再来
きょう(9日)の東京株式市場は日経平均が急反騰、本日はリスクオフ相場の糸を巻き戻す番で、先物主導で500円を超える上昇をみせた。米国とイランの対立激化が懸念されたものの、ミサイル攻撃で犠牲者が出なかったこともあって、8日のトランプ米大統領の演説は軍事的な報復を示唆しない内容だった。お互い拳を振り上げながらテーブルの下では大人のディールを行っていたということになる。
こうなると石川製作所<6208>をはじめとする一連の防衛関連株とNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信<1357>は下値を試すターンとなる。その代わりに、原油関連を除くほぼすべての銘柄に上昇圧力が働く格好となった。
東京市場は前々日に370円高、そして前日は370円安と日経平均に限れば合わせ鏡のような相場だったが、きょうは大発会の451円安を80円あまり上回る上げ幅をみせた。結局、年初からの波乱も差し引きプラス圏に浮上することとなった。
個別では、前日紹介したCEホールディングス<4320>がいい形で上値を指向している。19年9月期は営業83%増益と高変化を示したが、20年9月期は大型案件剥落で22%減益見通しにあり、これが株価の上値を重くしていた。しかし、中小病院向け電子カルテの市場は大きく、ビジネスモデル的には来期以降に成長性を開花させる可能性がある。光通信<9435>が大株主に入っていることも株高思惑につながっているが、CEHD自らもまた資本提携の動きに積極的。イメージング技術を活用した医薬品開発支援を手掛けるマイクロン(東京都中央区)を昨年11月に傘下に収めており、これが業容拡大に向けた礎となる可能性がある。
以前にも取り上げた日総工産<6569>は昨年12月26日に急伸後、目先筋の売り物を吸収して仕切り直し。もみ合い離脱の動きをみせつつある。製造業向け人材派遣を展開するが、中国人エンジニアを育成し、5G需要にも戦略的に対応する姿勢をみせており、時流に乗る銘柄として改めて存在感を高めそうだ。
大和コンピューター<3816>は急動意し高値引けとなったが継続注目。昨年12月2日に値を飛ばし、瞬間風速でつけた1497円の株式分割後の高値に急接近。ここを払拭して2000円に向けた強調相場のシナリオも描ける。基幹系業務とWeb関連に強いシステム開発会社で、クラウド分野も開拓中。DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の一角であるとともに、農業ICT関連として頭角を現している。19年8~10月期は営業利益が前年同期比56%増の1億6200万円と絶好調、株式需給面では超小型かつ浮動株比率も低く、信用買い残も枯れた状態で足の軽さを裏付ける。
このほか、中小企業を顧客に光回線IP電話を展開するフォーバルテレコム<9445>が目立たないが強い足をみせている。時価は2007年6月以来12年半ぶりの高値圏に位置する。その親会社で同社株の75%を保有するフォーバル<8275>の方も2015年につけた1220円の高値に後一歩と迫っており、ここを上抜けば実質的な青空圏に突入する。この2銘柄の値運びはマークしておいて面白いかもしれない。
ついでにと言っては語弊があるが、このフォーバルグループでもう1社、異色の低位株がある。通信・OA機器を販売し、オフィス移転支援や内装工事を行うフォーバル・リアルストレート<9423>。株価は90円台と超低位といってよいポジションにある。ちなみにフォーバルが61%の株式を保有しているが、今の株価であれば110万株程度の信用残は重荷とならない。
日程面では、あすは朝方に11月の家計調査、午後に11月の景気動向指数(速報値)などが発表される。また、12月上中旬の貿易統計も開示される。海外では12月の米雇用統計に市場の関心が高い。このほか11月の豪小売売上高、11月の米卸売在庫・売上高の発表も予定されている。(中村潤一)
最終更新日:2020年01月09日 18時23分