富田隆弥の【CHART CLUB】 「陰転懸念、好機を待つ」
◆心配していたことだが、新型肺炎(新型コロナウイルス)の感染が拡大し、株式市場も変調をきたしてきた。パウエルFRB議長はFOMC(1月29日)後の会見で「新型ウイルスは深刻な問題、その影響は不透明」と述べている。今回の事態は、日本の市場関係者が抱いていた今年の業績回復観測に水を差す出来事でもある。ここは新型肺炎の終息や株式市場の落ち着きを待つところと思われる。
◆日経平均株価は1月30日に前日比401円安と下げ、ザラバ安値2万2892円をつけた。日足チャートは75日移動平均線(2万3290円)や1月8日安値の2万2951円を割り込み、「陰転」が確定。また、昨年12月と今年1月につけた2万4100円処の「ダブルトップ」も確定した。騰落レシオは77.8%まで低下し、個別株の投資パフォーマンス(採算)が大きく悪化している。
◆当面の下値メドは、一目均衡表の遅行線雲上限(2万2888円)や雲下限(2万2683円)、週足の26週移動平均線(2万2600円近辺)などで、これらを下値に一旦切り返す可能性は十分にある。だが、そこからすぐ本格的上昇に結びつくかは疑問だ。
◆週足のRCIを見ると「9週、13週、26週、52週」のいずれもが1月に高値警戒水準に集まり、そこから下落を始めた。RCIが下値に届くまで少し時間を必要とするので、株価の底打ちも2~3ヵ月、あるいは半年近く先になる可能性もある。
◆米国株を含めて株式市場はテクニカルの過熱を無視して大きく上げてきただけに、その反動であれば「山高ければ谷深し」の例えが現実となる可能性を憂慮すべきだ。いまのマーケットは「AI」が売買指令を出す時代。市場に流れるニュースの文言などを拾って一斉に指示を出すので、相場は乱高下しやすくなっている。
◆これらを承知しながら、強気になるのはチャートの好転合図が出るまで待つべきだろう。
(1月30日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース