鈴木英之氏【再び下値模索の全体相場、春先にかけての展望】(2) <相場観特集>

特集
2020年2月10日 19時45分

―新型肺炎の影響拭えず、一筋縄では行かない地合いに―

週明け10日の東京株式市場は、依然として中国で発生した新型肺炎 の世界経済への影響を警戒する動きが強いなか、リスク回避の売りに晒された。前週1週間を通じて日経平均株価は先物主導で大幅な戻りをみせたことで、目先は利食い圧力も表面化している。頼みの米国株も前週末はNYダウなど主要株指数が下落に転じており、これも売りの口実となった。果たしてここから春先にかけ東京市場に光明は見えるのか。相場の分析に長けるベテラン市場関係者に今後の相場展望を聞いた。

●「当面は上値重い展開も」「新型肺炎の影響注視の展開続く」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

春先の3月に向けた、今後1ヵ月程度のマーケットはやや慎重に上値の重い展開を予想している。日経平均の予想レンジは、2万2500~2万4000円を見込む。

新年の年間相場予想の有力な見方のひとつには、東京五輪後のインバウンド需要の落ち込みなどを背景に業績が悪化し株価も年後半に軟調に推移するというものがあった。インバウンドの落ち込みは、新型肺炎の影響という思わぬ形で、現実のものとなりそうだ。いまのところ、足もとの決算発表では日経平均ベースの今期予想1株当たり利益(EPS)は下がっておらず、業績予想を上方修正する企業もある。ただ、新型肺炎が業績に与える影響は不透明で織り込めないのが実情だろう。このため、4月下旬から5月にかけて発表される来年度の業績見通しは、従来の予想を下回るものとなることも見込まれる。

ただ、足もとの状況は、年後半に起こる可能性があるとみていたリスクシナリオが前倒しされただけとみることもできる。年後半に向けては業績の巻き直しも期待でき、株価も底打ちから上昇基調に入ることはできるとみている。

個別株では、アンリツ <6754> や富士通 <6702> のような「5G」関連銘柄は依然、注目できそうだ。今年3月に商用サービスが始まる5G絡みの需要拡大の流れは変わらないだろう。

また、吉野家ホールディングス <9861> やコメダホールディングス <3543> 、イオン <8267> などのような外食 小売り の2月決算銘柄の配当・株主優待の権利取りには、投資妙味があるとみている。ただ、外食や小売りは中国事業やインバウンド関連の影響が予想されるセクターでもあり、その影響には注意しておきたい。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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