エスプール Research Memo(1):障がい者雇用支援サービスは屋内型モデルの提供開始で更なる成長を目指す

特集
2020年2月12日 15時01分

■要約

エスプール<2471>は、コールセンターや店頭販売支援業務等の人材派遣サービスを提供する人材ソリューション事業と、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービスを中心としたビジネスソリューション事業を展開する。障がい者雇用支援サービスでは、企業に対して貸し農園設備の販売及び運営管理と、障がい者の就労支援サービスを提供しており、ビジネスモデルとしてはフロー型とストック型を組み合わせたハイブリッドモデルとなっている。2010年に事業を開始して以降、2019年11月末時点で、千葉県、愛知県、埼玉県で18農園を運営、259社に対してサービスを提供、累計1,400名を超える障がい者雇用を創出している。

1. 2019年11月期業績実績

2019年11月期の売上高は前期比18.4%増の17,522百万円、営業利益は同63.1%増の1,604百万円といずれも期初会社計画(売上高17,066百万円、営業利益1,260百万円)を上回り、過去最高業績を連続更新した。売上高は人材アウトソーシングサービスが同20.5%増、障がい者雇用支援サービスが同39.3%増と主力2事業がそろって好調に推移し全体のけん引役となった。営業利益は主力2事業の増益に加えて、ロジスティクスアウトソーシングサービスや採用支援サービスが黒字転換したことも増益に寄与した。また、会社計画比での上振れ要因は、障がい者雇用支援サービスにおいて相対的に利益率の高い設備販売が伸長したことが主因となっている(区画販売数で922区画と計画の880区画を上回る)。

2. 2020年11月期見通し

2020年11月期の売上高は前期比17.8%増の20,636百万円、営業利益は同24.7%増の2,000百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。引き続き人材アウトソーシングサービスと障がい者雇用支援サービスがけん引役となる。人材アウトソーシングサービスではグループ型派遣による高いサービス品質が顧客から評価されており、顧客内シェア拡大により、売上高で同15.9%増、営業利益で同19.1%増益となる見通し。一方、障がい者雇用支援サービスは旺盛な障がい者雇用ニーズに対応すべく新規農園の開設を進めるほか、第3四半期から新たに屋内型モデルのサービス提供を東京都23区内で開始する予定となっており、売上高で同27.6%増、営業利益で同11.1%増を見込んでいる。農園区画販売数は同11.3%増の1,026区画を計画しているが、引き合い状況は好調で計画を上回る可能性も十分あると弊社では見ている。

3. 障がい者雇用支援サービスの成長見通し

障がい者雇用支援サービスでは従来、屋外型農園を活用したサービスを展開してきたが、2020年11月期第3四半期から新たに屋内型サービスを開始する予定だ。企業、障がい者ともに潜在需要の大きい都市部での展開が可能となる屋内型モデルの開始により同事業の成長が加速するものと弊社では見ている。屋外型モデルでの新規開設を継続していく予定で、屋内型モデルが新たに加わることで将来的に年間2,000区画の設備販売と1,000人の障がい者雇用創出が可能となる。障害者雇用促進法の段階的引き上げにより、2021年度までに約5.1万人の新規雇用が必要※となり、同社にとっては事業拡大の好機となる。屋内型モデルでの販売が軌道に乗れば将来的に売上規模で100億円を超える可能性も出てきており、中期的に同社業績をけん引していくものと予想される。

※2019年6月時点の民間企業(法定雇用率2.2%)の雇用障害者数は56.0万人(前年比2.5万人増)、実雇用率は2.11%(同0.06ポイント上昇)。2021年4月以降、法定雇用率は2.3%(=雇用障害者数で61.1万人)に引き上げられる。

4. 株主還元策

2020年11月期より配当方針を従前の連結株主資本配当率5%基準から、連結配当性向20%基準に変更した。収益拡大と財務基盤の強化が進んだことにより、今後は資本効率も意識しながら安定的かつ持続的向上を目指す方針だ(減益となった場合でも配当性向で60%以内であれば減配しない)。

■Key Points

・主力2事業の好調に加え、ロジスティクスアウトソーシング、採用支援サービスが黒字化する

・主力2事業をけん引役に業績は2ケタ増収増益が続く見通し、会社計画は保守的な印象

・障がい者雇用支援サービスは新たに屋内型モデルの展開を開始し、成長加速を狙う

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

提供:フィスコ

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