来週の株式相場戦略=暴落後の下げ止まり探る、2万円前後が下値メドか
今週の東京株式市場は、日経平均株価が前週に比べ2243円(9.6%)安となり一時2万1000円を割り込む暴落となった。下げ幅は2008年10月のリーマン・ショック時以来の水準だった。ただ、世界の金融システムを揺さぶったリーマン・ショックは別格で、「実際の体感や市場に与えた衝撃という点では、18年2月のVIXショックを超えたか、13年のバーナンキ・ショックに並ぶ程度では」(市場関係者)との見方も出ている。来週の日経平均株価の予想レンジは1万9800~2万2300円。
新型肺炎の感染拡大は、世界のサプライチェーンの混乱をもたらし、実際の経済活動の下押し要因となる。これまで経験のないものであり、市場には疑心暗鬼が広がりリスク資産からの逃避が進んでいる。新型肺炎の混乱がどこで収束するかは、いまのところ分からない。ただ、株式市場の見方からは調整は、大分いい水準まで進んだとの見方も出ている。日経平均株価の下値メドとして挙げられているのは、連結PBR1倍の2万700円だ。また、今年1月高値2万4115円からの15%押しとなる2万500円という数字も出ている。この水準を割り込んだ場合、2万円ラインの攻防となる。
来週にかけては、新型肺炎を織り込んだ経済指標が出てくる。悪化する経済指標をどの程度、株価は織り込んだか、足もとを確かめながらの展開となる。週末29日に発表される中国2月製造業PMIが注目されているほか、特に3月2日の米2月ISM製造業景況感指数や米2月製造業PMI・改定値への関心は高い。さらに、6日の米2月雇用統計を確かめながら、3月17~18日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)の動向を探る展開となりそうだ。
来週は5日には石油輸出国機構(OPEC)の臨時総会が開かれる。また、3月のIPOが始まる。2日にカーブスホールディングス<7085>、4日にKids Smile Holdings<7084>、6日にウイルテック<7087>、きずなホールディングス<7086>が株式上場する。(岡里英幸)