富田隆弥の【CHART CLUB】 「NY暴落、続く乱高下」

市況
2020年2月29日 10時00分

◆懸念していたことが現実味を帯びてきた。 新型肺炎の感染が世界に広まり、世界マーケットの要である「NYダウ」が暴落、長らく続いたマネーバブル相場に亀裂を入れることが否定できなくなってきた。

◆山高ければ谷深し、荒れる3日新甫(しんぽ)、調整アノマリーのある2月、そして日足の陰転(抵抗線割れなど)でチャートは注意信号を発していたが、まさかNYダウが6日続落で3581ドル(-12.2%)、2月12日の最高値2万9568ドルから2週間で3802ドル(-12.8%)も急落するとは驚きだ(27日現在)。

◆27日のNYダウは2万5766ドルで引け、下げ幅は前日比1190ドル安と過去最大を記録。もはや“暴落”と言えるレベルだろう。チャートは下値のポイントの200日移動平均線(2万7237ドル)や52週移動平均線(2万7045ドル)を大きく割り込んだ。10%以上の調整と200日移動平均線を割り込んだことでマーケットも「調整入り」を認識したことになる。

日経平均株価は2万0916円まで安値を切り下げ、200日移動平均線(2万2189円)や52週移動平均線(2万2140円)を大きく割り込み、チャートは調整入りを鮮明にしている。当面の下値メドは週足で下値抵抗線の走る2万1000円処(現在、株価が差し掛かった水準)や、月足の60ヵ月移動平均線の2万0254円となる。

◆AI(人工知能)が指令を出す時代で相場は一方向に振れやすく、下げ止まればNYダウ、日経平均とも1000ドル、1000円規模の急反発を見せてもおかしくない。3月中旬には日本のメジャーSQ(先物・オプション清算日、3月13日)、米国でFOMC(連邦公開市場委員会、3月17~18日)、日銀金融政策決定会合(3月18~19日)などがあり意識されよう。

◆ただ、未知の新型コロナウイルスが拡大し、未曽有のマネーバブル相場に亀裂を入れたことで、マーケットがどのような調整になるかの判断は難しい。世界のマネーを吸収している米国株(NYダウ、ナスダック)が調整入りしたことで隠れていた懸念要因(過剰債務など)が表に出てくる可能性もある。

◆株式市場はしばらく「乱高下」を続け、底打ちに時間を費やすことは想定しておくべきだろう。過去の相場を振り返っても、亀裂を入れた相場は二段下げや二番底を確認しにいくのが常である。

(2月28日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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