【杉村富生の短期相場観測】 ─ バンジージャンプ相場下の投資戦術!
「バンジージャンプ相場下の投資戦術!」
●売った人がいれば買った人がいる?
九州北~中部ではシーソーのことを「ギッチョンバッチョン」という。最近の相場はまさに、そんな感じである。そう、上がったり、下がったりだ。値動きが激しい。NY市場は「バンジージャンプ相場」と呼ばれているらしい。マーケットは新型コロナウイルスの拡散による世界経済へのダメージを気にしているが、主犯はシステム売買だろう。
NYダウは2月28日に、2万4681ドルのザラ場安値をつけた。この週の下落率は12%と、2001年9月(同時多発テロ)の14%、1987年10月(ブラックマンデー)の13%に匹敵する激しさ(2月20~28日の7日連続安では3938ドル安)だ。この間、先進国の株式投資資金は35%流出した、という。
これがリスク・パリティ(VIXなどリスク指標の上昇に反応、機械的に株式のウェートを落とすヘッジ機能)の怖さだ。資金的には余裕がある? それはそうだが、ぶん投げたあとにすぐに買い出動する投資家は少ない。彼らは、全般相場の落ち着き待ちだろう。それと、当たり前の話だが、売った人がいれば買った人がいる。
すなわち、売りばかりでは値がつかない。恐らく、買ったのはロングオンリーのファンドだろう。彼らは6ヵ月、1年先を見ている。バーゲン・ハンターはみんなそうだ。マーケットが動揺し、人々がパニックに陥った局面を買う。なにしろ、この世界は「3%の勝者に、97%の敗者」といわれている。すなわち、常識が通用しない苛酷なところである。
●日経平均はほぼ底値ゾーンに到達!
だからこそ、先人は少数意見に耳を傾けよ、と諭している。「総投げだッ~」「暴落だッ」と叫ぶ外部の声に惑わされてはいけない。古来、野も山も皆一面に弱気ならアホーになりて買いのタネをまけ、というではないか。
日経平均株価は6日に、2万613円のザラ場安値をつけている。この水準のPBRは0.985倍(5日時点の1株純資産は2万911円)だ。アベノミクス相場が始まった12年12月以降、日経平均のPBRが1倍を割り込んだのは2回(PBR0.99倍)しかない。16年2月(チャイナ・ショック)、18年12月(米中貿易戦争)だ。今回は3回目になる。
そして、過去2回はいずれも「千載一遇」の買い場提供となった。今回もそうなるだろう。ファンダメンタルズの悪化を気にしていては突っ込み買いはできない。いや、理屈をこね回し、理路整然と曲がる。投資の世界では賢き者に富める人はまれなり、といわれている。
さて、ここでの投資戦術はどうか。日経平均の2万1000円以下を売り叩く必要はない。弱気筋はここぞ、とばかりに「為替は1ドル=60~70円になる」とか、「株価は2~3年低迷する」と主張している。しかし、こんな極論が的中したことはない。ここは、買い下がり作戦はNEXT日経平均レバレッジ <1570> [東証E]を。短期・順張りでは逆行高の出前館 <2484> [JQ]、アンジェス <4563> [東証M]、アルチザネットワークス <6778> [東証2]を。
2020年3月6日 記
株探ニュース