【杉村富生の短期相場観測】 ─ 恐怖の出現は底打ちのシグナルだぞッ!
「恐怖の出現は底打ちのシグナルだぞッ!」
●PBR0.80倍、配当利回り2.94%は“異常”!
いや~、ひどい相場である。ひどすぎる。投資経験60年の古老が「こんなのは人生初」と嘆いている。世界のマーケットは総崩れ、投げ売り商状となっている。多くの投資家が恐怖に脅えていると思う。足が震え、背中がゾクゾクッとしているのではないか。
この現象は底打ちのシグナルである。日経平均株価は13日、1万6690円のザラ場安値をつけた。この水準のPBRは0.80倍(12日時点の1株純資産は2万854円)だ。株価指標的には完全に、売られ過ぎゾーンに突入している。
ちなみに、日経平均のPBRが1倍を割り込んだのは2000年以降、今回を含めて6回に過ぎない。すなわち、08年10月(リーマン・ショック時の0.87倍)、12年6月(東日本大震災後の経済混乱時の0.87倍)、同10月(旧民主党政権末期の0.90倍)、16年2月(チャイナ・ショック時の0.99倍)、18年12月(米中貿易戦争激化→新東西冷戦構造時の0.99倍)、そして今回である。
もちろん、主軸株は軒並みPBR1倍割れだ。たとえば、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> は0.29倍、三菱商事 <8058> は0.60倍、野村ホールディングス <8604> は0.44倍、みずほフィナンシャルグループ <8411> は0.31倍、日本製鉄 <5401> は0.26倍、トヨタ自動車 <7203> は0.81倍、ホンダ <7267> は0.46倍、NTT <9432> は0.87倍などとなっている(執筆時点、以下同じ)。これは日本を代表する企業群が「解散価値」以下に売り込まれていることを意味する。
●預貯金を引き出し株式を買おうじゃないか!
まさに、“異常”な状態である。東証1部の加重平均配当利回り(12日時点)は2.94%だ。18年12月25~26日に、やはり“異常”といわれた局面での数値は2.63%だった。現状はそれを上回る高利回りである。超低金利下、配当の魅力が必ず評価されるときが訪れるだろう。
そもそも、株式には価値がある。だから、有価証券という。無価値ではない。さらに、利潤証券、物的証券、支配証券としての機能が付与されている。まあ、個人には銀行は無担保では金を貸してくれないが、1兆円ほど調達できれば主軸株のオーナーになって(金利は配当でまかなう)、値上がりを待つことができる。
いずれにせよ、こんなばかげた幻想を抱かせるほどの株価水準である。三菱UFJの株価は393円絡み。20年3月期の配当は25円を予定している。この水準の配当利回りは6.4%になる。
仮に、100万円をメガバンクの普通預金に預けていたとすると、年間利息はわずか手取り8円だ。これを株式に替えると、2500株購入できる。年間配当金(手取り)は5万円になる。どっちが有利か、改めて述べるまでもないだろう。
現在、個人金融資産の900兆円強が預貯金に眠っている。この際、これを引き出し、みんなで株式を買う「日本市場救済作戦」はどうか。
2020年3月13日 記
株探ニュース