仮想通貨関連銘柄とビットコイン相場の関係は【フィスコ・仮想通貨コラム】
仮想通貨関連銘柄の株価はビットコイン(BTC)の相場にどのように反応するのか? 国内と海外の関連銘柄とでは、株価の反応に違いが認められる。以下に、順を追って説明していきたい。
仮想通貨関連銘柄の株価を比較するにあたり、BTC価格が大きく上昇した下の三つの期間を選んだ。括弧内は、各期間内の第1日目のBTC価格を100として、それぞれの最高価格を指数化した数値となる。
1.17年10月12日-18年1月6日 (100pt→322pt)
※18年1月6日に17,527ドルに到達するまでの90日間
2.19年3月28日-19年6月26日 (100pt→320pt)
※19年6月26日に13,016ドルに到達するまでの90日間
3.19年12月18日-20年2月12日 (100pt→142pt)
※20年2月12日に10,326ドルに到達するまでの56日間
上の三つの期間において、まずは国内における仮想通貨関連銘柄の株価を比較する。仮想通貨交換業を手掛ける企業を中心にGMOインターネット<9449>、SBIホールディングス<8473>、マネックスグループ<8698>、リミックスポイント<3825>、フィスコ<3807>、セレス<3696>、オウケイウェイヴ<3808>、マネーパートナーズ<8732>の8社の株価を確認すると、上の三つの期間うちのいずれかにおいて、8社中6社の株価が上昇していた。
株価の反応は、BTC価格が一定期間上昇した後というケースが多かった。例えば、BTC価格は17年11月に高騰し12月第1週に上昇のピークを迎えたが、関連銘柄の株価は12月第2週以降であった。後述する海外関連銘柄に比べると、国内の関連銘柄はBTC価格上昇から株価が反応するまでの時間差が大きい。BTC価格が最も大きく値上がりした17年10月-18年1月は、他の二つの期間と比較して、8社中5社の株価上昇率が最も大きかった。19年末-20年2月のBTC価格は心理的節目となる1万ドルを維持する期間も短く、上昇度も大きくなかったため、関連銘柄の株価に波及しなかったのだろう。
次に、海外の仮想通貨関連銘柄の株価を確認した。マイニング企業のHIVE、Hut8、Bitfarms、Canaan、ビットコイン決済も提供するスクエア、グループ企業でビットコイン先物を提供するICE(インターコンチネンタル取引所)とCBOE(シカゴ・オプション取引所)、仮想通貨に特化した決済ネットワークを提供する商業銀行Silvergateの8社の株価の動きを観察したところ、8社中7社が上の三つの期間のいずれかで株価が上昇した。
海外の関連銘柄では、いずれの期間でもBTC価格が上昇を始めて1週間後には株価も上昇し始めており、株価の反応は日本よりもかなり早い。ただし、大きな反応が見られたのは仮想通貨事業に特化しているCanaanとHut8、HIVEなどが主であり、例えばICEやCBOEといった他の事業も手掛ける企業の株価にはほとんど影響が見られなかった。例外的に、決済大手のスクエアはビットコイン購入サービスを開始した17年11月がちょうどBTC相場上昇の時期と重なっていたこともあり、株価が大きく上昇した。日本のみならず、海外でもBTC価格に強く株価が影響を受ける企業は限られる。
例えばHut8の株価は19年3月-6月の期間に360%上昇しており、他の海外仮想通貨専業の銘柄でも2社が19年12月-20年2月の期間に150%を超える上昇となったが、国内ではいずれの期間においても150%を超える上昇は見られなかった。国内の関連銘柄には仮想通貨専業の銘柄がまだないことに加え、株価が反応するタイミングが海外よりも遅いことを鑑みると、国内でこうした強い反応を期待するには、1万ドルなどの心理的節目となる価格を一定の期間、明確に上抜けることが必要だろう。
最後に、米市場に複数存在するブロックチェーン関連ETFの価格を観察した。観察したのはGFIN、LEGR、BLOCK、KOIN(いずれもティッカーシンボル)の4つだ。それぞれの構成銘柄数は120、104、58、45(3月4日時点)で、ブロックチェーン開発に従事する欧米や日本、中国、韓国などの大手企業が名を連ねており、業種は金融機関や技術関連、コンサルティング大手などが含まれている。いずれのETFもBTCの上昇期に目立った価格の上昇は見られず、「BTC価格の上昇の恩恵を享受する」という目的は適っていない。
なお、足元の仮想通貨市場の急落を受けて、海外のマイニング企業であるHIVE、Hut8、Bitfarms、Canaanは3月6日前後から株価が急落している。ビットコインは5月11日頃に半減期(マイニングの報酬が半減するタイミング)を通過する予定だが、マイニング専業企業の今後の動向を見る上でもこうした企業の株価の動きが注目される。
《SI》