来週の株式相場戦略=東京の感染者数が焦点、戻り高値圏での一進一退か
この週の日経平均株価は2836円(17.1%)高と7週ぶりに反発した。日銀のETF買いへの期待もあり、いったんは底打ちから反発を狙う状況にある。来週は4月の新年度入りとなる。東京株式市場では、通常なら4月は1年でもっとも良好な株価パフォーマンスが期待できる月だ。ただ、足もとでは東京都内での新型コロナウイルス感染者数が急増している。「状況次第では首都圏封鎖もあり得る」(市場関係者)との声も出るなか、神経質な展開が続きそうだ。日経平均株価の予想レンジは1万8500~2万円。戻り高値圏での一進一退が予想される。
来週の週前半は底堅い展開が予想される。30日まで配当再投資の買いが見込めるほか、31日は期末のドレッシング買いへの期待が高い。また、来週は重要な経済指標が発表されることも見逃せない。4月1日には3月日銀短観が発表となる。海外では1日に米3月ADP雇用統計、同ISM製造業景況感指数、3日に同ISM非製造業景況感指数、そして3月雇用統計が公表される。とはいえ「足もとの経済指標が悪いのは当然」(アナリスト)との声があり、市場への影響は限られるとの見方もある。
そんななか、見逃せないのが31日に発表される中国3月製造業PMIだ。新型コロナの発生源となり、足もとでは感染拡大が収まりつつある中国の経済データは先行指標として市場の注目度が高い。同PMIは45.0(2月35.7)へ回復するとの見方がでており、予想通りなら市場への前向きな材料となりそうだ。
ただ、最大の警戒材料は東京でのコロナ感染者数の急増だ。東京など1都4県は26日、不要不急の外出は避けるよう求めた。この外出自粛要請を経て、その後も感染者数拡大が止まらないようなら、首都圏封鎖が現実味を帯びてくる。日本経済は東京を中心とする首都圏への一極集中体制を取っていることもあり「もし首都圏封鎖となれば影響は大きい。日経平均株価は1万6000円割れもあり得る」(アナリスト)と警戒する見方もある。こうしたなか、東京の感染者数に一喜一憂する展開が予想される。
中国PMIの回復がみられ、NYダウが底堅い動きとなれば、アンリツ<6754>など5G関連や東京エレクトロン<8035>など半導体株が堅調な展開となろう。一方、新型コロナ感染者数の拡大が続けば、ニチレイ<2871>や東洋水産<2875>のような巣ごもり関連株への物色が続きそうだ。(岡里英幸)