富田隆弥の【CHART CLUB】 「急反発だが、楽観禁物」
◆桜が咲き始め、街に人の姿が戻ってきた。近所のショッピングセンターは春休みのせいもあって親子連れでにぎわっている。気の緩みが気になっていたそんな矢先に、東京都とその隣県が週末の外出自粛要請を決めた。東京五輪の延期が決まり、芸能人やスポーツ選手など著名人の新型コロナウイルス感染も明らかになった。その猛威は終息に向かうどころか拡大懸念を強めており、まだ油断できない。コロナウイルスとの戦いは長期化することを覚悟すべきだろう。
◆株式市場は想定通り「彼岸底」から上昇に転じたが、上昇ピッチが速すぎるのは気になる。大きく崩れた後の反発は所詮アヤ戻しのリバウンドである。先物主導の「買い戻し」が主因であり、それが一巡すれば再び調整も入れよう。それが相場の常であり、大きく上げたからといって油断は禁物。もうしばらくは、上げたり下げたりの「大きくもみ合う」展開を想定しておくべきだ。
◆日米欧が揃って財政・金融の両面でメガ対策を打ち出した。「できることは何でもやる」という姿勢が鮮明であり、株式市場が軟調になるならさらに策を出してくるに違いない。だが、財政・金融対策で新型コロナウイルスが消えるわけではない。
◆日経平均株価は3月19日の1万6358円をザラバ安値に切り返し、24日は1204円高、25日には1454円高(歴代5位の上げ幅)と大きく続伸し、ザラバ高値1万9564円をつけた。2月20日の高値2万3806円からの下げ幅7448円に対して43%戻しとなり、25日移動平均線に迫った。これだけ急速に戻せば26日に882円安と一服入れるのは当然で、セオリー通りでもある。
◆2月20日高値から1ヵ月で31%も暴落したので、買い戻しの余地はまだある。25日線を突破して、半値戻し(2万82円)や61.8%戻し(2万960円)を試してもおかしくない。だが、上げたり下げたりしながらの戻りをイメージしておきたい。
◆そして、仮に2万1000円近辺まで戻したとしても、その後さらに上昇できるかは不透明だ。中期的に二番底模索に向かうことも否定できず、2万円から上の水準では個別株には慎重に対応することも必要だろう。
(3月26日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース