国内株式市場見通し:日経平均は米中とコロナ問題にらみでもみあい

市況
2020年5月16日 15時15分

■日経平均一時20000円割れも後半持ち直す

前週の日経平均は3週ぶりの下落に転じた。週明け11日の日経平均は、新型コロナウイルス感染者の国内での増加ペースが鈍化し、14日にも一部の県で緊急事態宣言を解除することが検討されていると伝わったことを好感して、上昇していく展開となった。日経平均は直近の4月30日戻り高値20365.89円を更新して20500円台まで上昇する場面もあった。米政権内でのウイルス感染リスクへの警戒感が台頭して11日のNYダウは反落し、12日の日経平均は4営業日ぶりに小幅安に転じた。朝方はナスダック総合指数が6日続伸となったことから東京市場も半導体関連株を中心に堅調スタートとなったものの、米株先物の時間外取引動向をにらんで、大引けにかけて軟化した。今3月期は8割近い営業減益になるとの見通しを示したトヨタ<7203>の決算発表が後場の取引時間中にあったものの、相場全体への影響は限定的にとどまった。新型コロナの感染第2波に対する警戒感の高まりと、米中摩擦への懸念が広がったことで12日のNYダウが大幅続落し、13日の日経平均も終日マイナス圏で推移した。大引けにかけては、5月1日以来となる日銀によるETF(上場投資信託)買いなどを支えに下げ渋る展開となったものの、トヨタや資生堂<4911>などの決算を嫌気した売りが継続した。13日のNYダウはパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長や著名投資家の発言を嫌気して下げ幅を広げる展開のなか3日続落となった。14日の東京市場もこの流れを受けて軟調にスタート。後場に入ると、時間外取引での米株先物安などを受けて売りが先行し、日経平均は下げ幅を拡大、5月7日以来となる20000円大台を割れた。15日の日経平均は、追加救済策や各州での経済活動再開への期待感と原油高から上昇に転じた14日のNYダウを好感して、4日ぶりに反発。日経平均は20000円台を回復して寄り付いた後は下落に転じる場面もあったが、後場に入ってから日銀ETF買いの実施観測を受けて結局20000円を回復して大引けた。15日の米国市場は4月の小売売上高が過去最大の落ち込みとなったことを嫌気して軟調に始まったものの、5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想外に改善したことを好感してNYダウは前日比60.08ドル高の23685.42ドルと続伸した。

■下値は限定的も上値の重さも意識か

今週の日経平均は20000円を下限ゾーンに据えながらも神経質な展開となりそうだ。新型コロナの感染第2波と米中摩擦への警戒感を抱えつつも、経済活動再開と政府の追加経済対策が米国相場を下支えしている。しかし、22日からの全人代開幕を控えて、中国に対して過激な発言が聞かれ始めたトランプ米大統領の動向が警戒要因となるほか、引き続きNYダウや米株先物の時間外取引などの動向に日経平均は影響を受けやすいだろう。なお、米国では19日に世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマート、21日に半導体メーカーのエヌビディア、コンピュータ大手のヒューレット・パッカード、22日に中国電子商取引大手のアリババ・グループの決算発表が予定されている。なかでも5月に入り株価上昇が再び顕著となっているエヌビディアの決算は、その内容次第でハイテク・半導体関連物色にインパクトを与えることになるだろう。一方、国内に目を向けると、政府が14日に、新型コロナ感染症に対する緊急事態宣言を5月末の期限を待たずに39県で解除すると発表したほか、第2次補正予算の編成方針を示したことで、経済活動の正常化への期待感が東京市場の相場を下支えしそうだ。新規感染者数の減少が進み、21日を見直し日としている緊急事態宣言が継続している8都道府県で規制緩和が実施されれば、市場のムードも好転してきそうだ。ただし、現状では積極的に上値を買い上がる材料に欠けることも事実として横たわる。新型コロナ問題の長期化という見方が台頭しており、景気の回復が想定より遅くなる懸念が強まれば、相場全般は米国市場の動向を見ながら調整度を強める可能性も残る。需給的にも、5月13日、14日と日銀のETF買いが流入したが、その1日当たりの買い金額は1005億円と、4月1日から5月1日にかけての1日当たり買い入れ額1205億円から縮小していることがマイナス材料視されている。

■決算にらみの個別物色が継続

業績内容を確認しながらの物色が継続することになろう。国内企業の決算発表は15日にピークを通過したものの、発表延期のスケジュールが消化される。18日にはソフトバンクG<9984>、19日にはシャープ<6753>、20日はすかいらーくHD<3197>、そして22日には富士フイルムHD<4901>などが決算発表を予定している。

■米1-3月期GDP、緊急事態宣言見直し、全人代

今週の主な国内スケジュールは、18日に1-3月期GDP速報値、19日に3月鉱工業生産・確報値、20日に3月機械受注、4月首都圏マンション発売、4月訪日外客数、21日に4月貿易統計、8都道府県の緊急事態宣言見直し期日が予定されている。一方、海外では、19日に米4月住宅着工件数、米1-3月期GDP速報値、20日にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(4月28日、29日分)、21日に米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米前週分新規失業保険申請件数、米5月製造業購買担当者景気指数、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の発言、22日に中国全人代開幕が予定されている。

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.