【杉村富生の短期相場観測】 ─デジタル社会の到来を先取りする企業に狙いを!
「デジタル社会の到来を先取りする企業に狙いを!」
●経済実勢と株価には大きなカイリが存在!
株式投資において、肝要なのは「現状を正しく認識し、リスク・マネジメントを徹底すること」と一貫し、主張している。すなわち、相場の水準、方向を正確にとらえ、現金比率を調整する、これは筆者の持論である。目先の値動きに一喜一憂したり、惑わされてはいけない。大切なのはトレンドを読み、行動する、これが基本である。
マーケットには楽観ムードが漂っている。確かに、NYダウ、 日経平均株価ともに強い。すでに、半値戻しの水準をクリアした。テクニカル的には「半値戻しは全値戻し」という。NASDAQ総合株価指数は2月19日の史上最高値(9817ポイント:終値ベース)奪回を視野に入れている。
しかし、経済の実勢(企業業績)と株価には大きなカイリが発生している。NY市場はFRBの猛烈な資金供給(総資産は6.6兆ドルと、一気に5割増)、東京市場は日銀のETF買いが株価を支えている。もちろん、 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)にピークアウト感が台頭、加えて売り方の買い戻しがあろう。
株価には先見性がある。それは承知している。ただ、「コロナ・ショックは短期収束型になる」とか、「日経平均株価は大底を確認、長期上昇波動に突入」などのコメントには正直、違和感を覚える。「大恐慌以来」と形容されるショック安を3~4カ月で克服できるだろうか。
まあ、相場の解釈には各人各様の見方がある。結局、最後は投資家自身の判断だ。筆者は臆病と酷評されようが、ここはできるだけ現金比率を高め、銘柄を絞り込み、小玉での小すくい戦術(遊び感覚)を提唱している。
●日経平均株価の1株利益は急減中!
目先は高値波乱と判断している。この相場が本格反騰態勢をトレンド的に鮮明にするには新型コロナウイルスの感染拡大の阻止、画期的な治療薬(レムデシビルの有効性には疑問)、ワクチンの開発は当然だが、東京市場の場合は1~4月に先物を含め、8.1兆円もの売り越しになっている外国人の買い出動が不可欠だろう。
それと、急減(この3カ月間に900円強減少)中の日経平均株価の1株利益(5月14日現在は810円、実績ベースは1591円→49.1%減益)が「下げ止まる」とともに、増加に転じること、これが必須条件だ。なお、現状のPERは24.59倍に高まっている。
だからこそ、株価は高値波乱に陥りやすい。もっとも、裁定売り残は積み上がっているし、ヘッジファンド(投機筋)は2万円前後の水準での売り仕掛けはしないだろう。ともあれ、「安いところを買いたい」と考えている人達にとっては日銀の存在が「?」と映っているに違いない。そう、株価のダイナミズムが失われる。
さて、ここでの狙い目はテレワーク、電子認証、スーパーシティ、Webセミナーなどデジタル社会の到来を先取りする弁護士ドットコム <6027> [東証M]、GMOクラウド <3788> 、イノベーショ <3970> [東証M]、エイトレッド <3969> 、スマートバリュー <9417> などに注目できる。
なお、今国会ではAI(人工知能)、ビッグデータなど先端技術を活用したスーパーシティ構想を実現するための国家戦略特区法改正案が成立する見通し(衆院は通過済み)だ。自動運転、電子行政、遠隔医療などの導入、普及が加速することになろう。
2020年5月15日 記
株探ニュース