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すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 すぽさんの場合-第2回

特集
2020年5月29日 11時40分

13倍株も見つけた、企業分析おたくさんの目の付けどころは?

登場する銘柄

インフォマート<2492>、M&Aキャピタルパートナーズ<6080>、マネジメントソリューションズ<7033>

文・イラスト/福島由恵(ライター)、構成/真弓重孝(株探編集部)

すぽさんすぽさん(ハンドルネーム、40代・男性)のプロフィール:
幼いころから企業分析が大好きな、自称「企業分析おたく」。確定拠出年金(DC)をきっかけに会社員時代から株式投資を行う中、リーマン・ショックで運用資産の半分以上を吹き飛ばすという苦々しい大ヤラレを経験。以降、「高成長」「優れたビジネスモデル」「割安」にこだわった独自の投資方法を編み出す。その後は爆発的&安定的な資産拡大に成功し、約6年で資産10倍超を遂げる。2018年7月から勤めていた会社を退職し専業投資家に転身。会社員の頃から継続している『すぽさん投資ブログ』では、読者参加型で個別の企業分析などの意見交換ができるスタイルが好評。自身も有効な情報収集&投資スキル向上のツールとなっている。数々のマネー誌等に登場するのと並行し、19年には『10万が100万になる株の本当の探し方』(ぱる出版)を出版。現在運用資産額は数千万円、億り人に向かって邁進する日々だ。

1回目記事を読む

緊急事態宣言の解除で経済再開に向けて動き始めた。再開といえば、このコラムも編集部の方針で初回の記事から時間を置くことになった元サラリーマン投資家のすぽさん(ハンドルネーム)シリーズを再始動させる。

改めて、すぽさんのすごさを紹介すると、「30%もの大暴落を招いたコロナショック前の1月末に、全保有株を売却し100%現金化した」という読みと決断力を効かせたことだ。実行した直後に自身のツイッターで公開したことから、投資家の間でも「さすが!」「すごい相場観」などと、驚愕や称賛の声がSNS(交流サイト)などで沸き起こった。

このすぽさんの大英断の背景には、もともとバブル的に上昇していた米国株の動きを注視してきた中で、1月末に直近にあまり見られなかったボラティリティー(株価の変動率)の高さと、株価の下落が発生した異変を見逃さなかったことがある。これをそれまでの上昇トレンド崩壊のサインとみなし、行動に踏み切った。ご承知の通り、その後は米国株、日本株ともども大崩れとなっている。

こうしたキレキレの読みをしたとなると、「優れた相場観の持ち主」という強烈な印象が付いてしまうが、それはすぽさん本来の投資家像とはちょっと違う。すぽさんの投資家としての持ち味は、「企業そのものに目を向けてじっくり企業分析する姿勢」だ。

いったん惚れ込んだ企業を見つけたならば、目先の株価が少々下がろうと、それに動じることなく中長期目線でガッチリ保有を続けるファンダメンタル重視の投資家なのだ。綿密な分析の甲斐あって、「13倍株」を掴んだ経験もある。

今回2回目記事では、「企業分析おたく」と自ら称するすぽさんが、どんな着眼点で銘柄を選ぶのか、1回目に次いでさらに深掘りしていく。

3年間ホールドで株価13倍化を実現

初回記事から時間が経過したため再確認しておくと、すぽさんは、サラリーマン時代、会社勤めをしながら5年4カ月で資産を10倍化させたすご腕だ。相場の平常時はフルインベストメントを常とし、「見るべきものは株価ではなく企業そのもの」という姿勢で投資を続ける。コロナショック前に資産を全売却したというのは、まさに非常時モードの異例のアクションなのだ。

すぽさんの資産拡大に大きく貢献した成功例の1つに、インフォマート<2492>への投資がある。これは、自分の見立てを信じてじっくり保有を続けたことが吉と出て、株価13倍化を実現できた。

同社は飲食店の食材発注などのWEBプラットフォームを運営する会社で、利用企業数を増やしながら安定的に成長しており、他社参入が難しい独占的なビジネスを展開している点に注目した。その一方で、当時のPER(株価収益率)は12.9倍と、比較的割安水準であると判断して2011年に購入に至る。

その後、14年まで3年間同社株の保有を継続し、あこがれのテンバガー(10倍株)よりもっとおいしい果実を得られたのだ。下のチャートのように同社の株価はその後も大きく上昇しており、結果論ではその分の利益を取り損ねたことになるが、3年程度で13倍の上昇を取れれば十分すぎる成績だ。

■インフォマート<2492>月足チャート

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

当時は会社員だったすぽさん。その投資スタイルは専業投資家になった今も変わっていない。銘柄選択の入り口では時間を割いてじっくり分析を行い、あとは企業の成長ストーリーに変化がない限りはバタバタとした売り買いはしない。長期目線で保有を続けるのが基本的な方針だ。

成長力、優れたビジネスモデル、割安の3つを重視

そんなすぽさんがノーポジ状態になる少し前、比較的新しく仕込んで注目していた銘柄の代表例を挙げてくれた。それは、2019年の11月に買い出動したM&Aキャピタルパートナーズ<6080>、そして同年12月上旬に買ったマネジメントソリューションズ<7033>(以下、Mソリューションズ)だ。

M&Aキャピタルは、主に中小企業向けにM&A(企業の買収と合併)の仲介サービスを行う独立系企業。Mソリューションズは、企業が新規プロジェクト等を円滑に行えるよう、そのマネジメントができる人材を企業に派遣し支援を行う、ちょっとユニークなビジネスを行う企業だ。

今後、大なり小なりコロナショックがもたらす経済悪化の影響を受けることは避けられないだろうが、両社とも、「足元では着実に通期の売上高を右肩上がりで成長させてきた会社」という点では共通している。実際、コロナ前は順調に株価も伸びていた。

特にM&Aキャピタルは、売上高営業利益率(営業利益を売上高で割り、100を掛けた値)は40%以上というスバ抜けて高い水準。売上高営業利益率は「稼ぐ力」を端的に表す物差しとして重視するファンダメンタル投資家は多く、その観点からは、稼ぐ力がピカピカに輝く企業であるというのが大きな特徴だ。

では、すぽさんはどんな段取りでM&AキャピタルパートナーズやMソリューションズを発掘したのか。この2銘柄を選んだ着眼点に入る前に、まずすぽさんの銘柄選別のポイントをおさらいする。

それは、

① 成長力は高いか

② ビジネスモデルは優れているか

③ 割安か

――の3つを①→③の順で吟味することだ。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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