明日の株式相場戦略=半導体周辺と2次電池関連に照準

市況
2020年6月10日 17時34分

きょう(10日)の株式市場は、前日の米国株市場でNYダウが7営業日ぶりに反落したことや外国為替市場で1ドル=107円台半ばまで円高が進行したことなど、FOMCを目前にポジション調整の売りが出やすいタイミングだったが、例によって頑強ぶりを発揮した。朝方に日経平均は2万3000円台を割り込んだものの、寄り後早々の2万2900円がこの日の底値。その後は漸次水準を切り上げ2万3000円台に復帰。それどころかマイナス圏からも脱却して結局、前日終値を小幅に上回って着地した。目先高値警戒感も拭えないなか、SQ週の“魔の水曜日”は結局何事も起こらなかった。

朝方取引開始前に発表された4月の機械受注は前月比で12%減、非製造業は20.2%減と統計上最大の落ち込みを記録、新型コロナウイルスの爪あとが強く刻まれる形となった。内閣府は、基調判断を前月の「足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」に引き下げている。しかし、「今はファンダメンタルズ無視で株式需給オンリーの相場。どんなに厳しい経済指標が発表されても、それはあくまで過去の出来事として株式市場はどこ吹く風というムードがある」(国内証券ストラテジスト)という。東京市場は2部・新興も含めストップ高銘柄がオンパレードとなるような極めて強い地合いだが、実勢経済の冷え込みの影響か、テクニカル指標が示す過熱感は投資家の体感温度とは遊離している。日経平均について言えば、買い方が歓喜の声を上げるような相場ではないけれど、売り方にすれば悲鳴をあげざるを得ない相場である。

前日の米国株市場ではNYダウが7営業日ぶりに反落したが、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は小幅ながら3営業日続伸し連日で史上最高値を更新。取引時間中にはついに1万の大台に乗せる場面もあった。コロナショックにより2月下旬から3月下旬にかけて断崖からのダイビングチャートを形成、3月23日に6860で底を入れたが、そこから2番底を探るような場面にも遭遇せず、文字通りのV字回復で1万の大台まで駆け上がった。これは2カ月前の段階では誰ひとり予測できなかったはずである。

アフターコロナの世界ではIT武装されたセクターが有卦に入るとの見方が支配的だ。米国では主力IT5社の「GAFAM」、つまりアップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトの株価の強さがそれを象徴する。これに加え、画像処理半導体大手のエヌビディアも最高値圏で強調展開をみせており、この物色の流れはグローバルマネーフローとなって日本にも押し寄せる。米国では5Gの本格普及や勝ち組IT企業によるサーバーの積み増し需要がすべて半導体ニーズを喚起するシナリオへとつながっていく。エヌビディアは隆盛を極める「GAFAM」と同じ成長ロードを走っていく。

東京市場でも半導体関連セクターには、銘柄によって濃淡はあれども継続的な資金が流れ込んでいる。その代表格がEUV露光装置対応の欠陥検査装置を独占供給するレーザーテック<6920>だ。きょうも一時450円高の9790円まで上昇。未踏の1万円大台にあと半歩と迫っている。また、マルマエ<6264>は半導体製造装置向け精密部品を手掛けるが、当欄でも3月24日以降、継続的に後を追ってきた。きょうはコロナ禍にあって20年8月期の営業利益予想を従来計画から大幅に上方修正、前期比7割を超える増益となる見込みとなった。これが好感され1000円ラインを突破し2月6日の年初来高値1064円にツラ合わせした。このほか、半導体関連では真空シール世界トップのフェローテックホールディングス<6890>や、メモリーモジュールを手掛けるミナトホールディングス<6862>などに見直し機運が高まってきている。

更にきょうは次世代2次電池の「バイポーラ型蓄電池」を開発した古河電池<6937>がストップ高で大引け比例配分の人気となった。これが、2次電池関連株に新たな投資マネーを誘引する可能性がある。例えば、同関連では界面活性材大手の三洋化成工業<4471>なども注目される。このほか、ここ動兆著しいFDK<6955>なども要マークといえそうだ。

日程面では、あすは4~6月期法人企業景気予測調査が朝方取引開始前に開示される。また、前場取引時間中に5月のオフィス空室率が発表される。海外では、5月の米生産者物価指数など。米30年国債の入札も予定される。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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