【植木靖男の相場展望】 ─ 戻り率80%の底力を侮るな!
「戻り率80%の底力を侮るな!」
●戻り天井パターン、底入れは7月中旬か?
東京など本州各地で梅雨入りとなった。6月11日には新型コロナウイルスを巡る東京アラートが解除。米国市場ではナスダック指数が1万ポイントを達成した。
そして、日経平均株価は11日前場、東京アラートならぬ株価アラートが灯り厳重警戒となった。後場にはさらに下げが加速、ついに緊急事態宣言が出た。
これらが揃って表面化したのは不思議な縁(えにし)といえよう。ともあれ、株価は戻り天井となったが、きわめて典型的なよく経験する天井パターンだ。
かねて今年の株価は「√(平方根)」、つまルート型と予想されていた。いまの株価はこの平方根の上昇の部分にあたるが、この過程での中段の保ち合いといえよう。
振り返れば、ここまでの反発はいうまでもなく金融、財政政策による大量の資金供給によるもの。本年に入って日米欧の中央銀行の資産は500兆円も増えているとされる。そうした中で、景気改善がみられるようになったというのであるから、まさに鬼に金棒だ。
とはいえ、ここまで反発、つまり安値から暴落分の80%も戻すというのは、戻り相場としては経験則でいえば最大級のものだ。それだけに過熱感が伴うのも当然である。
では、今後はどうみればよいのか。やはり、リーマンショック時の「√」相場を参照すれば、当時2009年3月から反発に転じ3カ月後の6月に戻り天井をつけて、その後1カ月かけて3分の1押しをみせた。
今回もたぶん同じパターンとみて、その都度、修正をしていくに越したことはない。目安は大雑把に言えば水準で2万~2万1000円、日柄で7月中旬頃あたりか。戻り天井が典型パターンとなったことで、底入れもこれまでと似たようなパターンが予想される。つまり、わかりやすい底入れ型となるとみている。
●時代の潮流に大きな変化の兆し
ともあれ、安値から80%も戻した底力は無視できない。調整後の反発が楽しみだ。“政策に売りなし”の格言通りの展開をみせるはずだ。また、数年後の株価見通しが大きいか小さいかによって、年内の反発力も変わってくる。筆者のワクワク感は一段と強まってきた。大局観は大事にしたい。
ところで、こうした調整局面での銘柄物色は厳しいのは当然であるが、大きなヒントはやはり米国ナスダック指数がコロナ禍にあって史上最高値を更新したことだ。NYダウが力を失い、ナスダックが新たな強さを発揮する、つまり時代の潮流が大きく変化する兆候といえよう。
こうした展開は日本株にも当然反映されることになる。今回は次の3銘柄に注目したい。
まずGMOクラウド <3788> 。セキュリティ対策の電子証明書の発行などITインフラ事業を担う。
また、マザーズのメドピア <6095> [東証M] もおもしろそうだ。医師紹介サイトやオンライン診療サービスを手掛ける。コロナ禍を奇貨として新しい息吹を感じるビジネスだ。
このほかレーザーテック <6920> 。半導体用欠陥検査装置は世界シェア100%だ。押し目を待っている投資家は多いようだ。
2020年6月12日 記
株探ニュース