為替週間見通し:底堅い動きか、米経済指標の改善を材料視

通貨
2020年6月20日 15時03分

【先週の概況】

■ウイルス感染拡大を警戒して円買い強まる

先週のドル・円は弱含み。6月15日発表の6月ニューヨーク連銀製造業景気指数や16日発表の5月小売売上高は市場予想を大幅に上回ったことから、早期の景気回復への期待が広がり、ドル買い・円売りが優勢となった。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感は消えていないことや、18日発表の新規失業保険申請件数は市場予想を上回ったことから、すみやかな雇用回復への期待は低下し、リスク回避のドル売りが優勢となった。英中央銀行は18日、債券購入プログラム規模を1000億ポンド拡大することを発表したことも材料視されたようだ。ドル・円は一時106円67銭まで下落した。

19日のニューヨーク外為市場でドル・円は、106円77銭まで下落後、107円05銭まで戻した。米国の複数の州で新型コロナウイルスの感染者数が急増との報道を受けて、リスク回避の円買いが一時優勢となった。ただ、中国は第1段階の貿易協定を順守し米国産の農産物購入を拡大する意向との報道を好感してドル売りは一服。106円88銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:106円67銭-107円64銭。

【今週の見通し】

■底堅い動きか、米経済指標の改善を材料視

今週のドル・円は底堅い値動きか。最近発表された米国の主要な経済指標は強弱まちまち。5月の鉱工業生産や住宅着工件数などは前回から改善しているものの、期待されたほど良好な内容ではなかった。しかしながら、5月小売売上高や6月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景況感指数)は、市場予想を大きく上回る内容だった。様々な制限措置の緩和に伴い経済活動は段階的に拡大しており、経済指標の大幅な改善に寄与したようだ。株式市場は経済指標の予想外の改善を好感し、上昇基調を維持しているようだ。

米国の一部の州で新型コロナウイルスの新たな感染者が増加しており、「第二波」の感染流行が警戒されている。米国外では、中国とインドの国境付近での武力衝突、北朝鮮と韓国の軍事境界線での対立が報じられており、地政学的リスクの増大を懸念したドル売り・円買いも観測された。それでも米国経済の正常化への観測は後退していないことから、ドルは底堅い動きを見せる可能性がある。今週発表される複数の経済指標が市場予想と一致、または上回った場合、米国経済の先行き懸念は和らぎ、ドル買い要因となろう。米長期金利が上昇すれば、ドルは下げづらい展開となりそうだ。

【米・6月製造業PMI】(23日発表予定)

23日発表の米6月マークイット製造業PMIは47.8と、5月の39.8を大幅に上回る公算。6月のNY連銀製造業景気指数は大幅に改善しており、6月ISM製造業景況指数の持ち直しに思惑が広がればドル買い材料になりそうだ。

【米1-3月期国内総生産(GDP)確定値】(25日発表予定)

25日発表の米1-3月期国内総生産(GDP)確定値は、改定値と同じ前期比年率-5.0%と予想されている。市場予想と一致しても5月以降の経済回復への期待は残されることから、ドル売り材料にはなりにくい。

ドル・円の予想レンジ:105円50銭-108円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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