富田隆弥の【CHART CLUB】 「正念場を迎える“夏相場”」
◆久しぶりに東京メトロ千代田線とJR山手線に乗ったが、普段の混雑ぶりが戻っていた。皆マスクはしているものの、毎日混雑した電車に乗らざるを得ない方々は気の毒だ。移動制限が解除となり、週末の高速道路でも渋滞が始まった。飲食店やお店にとっては客に来てほしいはずだが、いまはまだ「混雑」「人混み」を避けなければならず、経済再開と感染リスクの問題は悩ましい。
◆今回のコロナ禍で多くの人が テレワークやオンライン学習、オンライン飲み会などを経験した。飲み会はともかく、ビジネスや学習において通勤、通学のあり方、必要性を見直す良い機会になっただろう。株式市場でテレワークやオンライン関連は「アフターコロナ」のテーマとしてすでに浮上しているが、きっと息の長いテーマとなろう。
◆また、オンラインの普及により「東京」に執着する必要性も薄れてきた。いまやネット環境は都会でなくても整備が進んでおり、田舎で清々(すがすが)しく、のんびり生活する人も増えてこよう。ただ、清々しく感じるのは最初だけで、すぐに「ネオン」が恋しくなるという話はよく耳にする。
◆そこで、一案として浮上するのが「デュアルライフ」。平日は都会、週末は田舎と2カ所で暮らすライフスタイルのことだ。田舎の生活コストは安く、海や山、川といった自然に触れることでリフレッシュできることは間違いなく、温泉があればなお最高。現役のビジネスマンも、退職された年配の方も、年齢に関係なく心と頭のリフレッシュは必要であり、検討してみる価値は十分にあろう。検討するだけでも心がワクワクするに違いない。
◆7月1日に「路線価」の発表がある。1月1日時点の評価であるから「堅調」なものが出てくるだろうが、その後のコロナ禍が不動産業界の足を引っ張ったことは否めない。マンションや不動産の購入計画を中止し、手持ちの物件の売却に動く人も少なくない。だが、このような時期に買い手はなかなか現れず、価格の下落傾向が続くことが懸念される。
◆日経平均とNYダウはともに足踏みが続く。金融・財政政策に後押しされた緩和マネーが株価を支える一方、感染第2波への懸念が足を引っ張るという構図が続く。ただ、日足チャートではともに下値抵抗線と重なる25日移動平均線にタッチしてきた。
◆日経平均株価の25日移動平均線は2万2221円(25日時点)、NYダウ平均のそれは2万5841ドル(24日時点)。上昇トレンドを維持できるかどうかの正念場であり、ここを終値で下回ることが続くならば、「夏相場の調整」に懸念を募らせることになる。
(6月25日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース