【植木靖男の相場展望】 ─ 中段の保ち合いが二重構造に

市況
2020年7月11日 8時00分

「中段の保ち合いが二重構造に」

●米国ではNYダウからナスダックに主流が移行

日経平均株価は高値圏で中段の保ち合いをみせている。だが、複雑なことは、二重構造となっていることだ。

具体的には、大きな流れでは、1月20日の高値2万4083円(終値ベース、以下同)と3月19日の安値1万6552円のわずか2ヵ月の高安の間にすっぽり入り込んで、すでに4ヵ月近く経過しようとしているのに、閉じこもったままである。珍しいケースだ。

そして、ここへきて新たな中段の保ち合い、すなわち6月8日の高値2万3178円と6月15日の安値2万1530円というレンジの中に入り込んで1ヵ月近くが過ぎようとしている。文字通り、中段の保ち合いの二重構造という格好なのだ。とはいえ、中段の保ち合いもやがて終了する運命にあるのはいうまでもない。

直近の中段の保ち合いの理由はこうだ。“経済を回す”という意味不明瞭な言葉に表現されているが、要は景気を再生させなければ日本経済がもたない、ということらしい。つまり、財政、金融政策を総動員する一方で規制を解除する――この好材料が株価を下支えしている。そして、上値では再びコロナ感染拡大懸念が株価上昇を抑える。

ところが、ここへきて突然、中国上海株が急騰するといったハプニングがあり、株価を押し上げようとしている。上昇の背景は何か? 様々な噂が流れているが、もし中国経済の回復を示唆するのであれば世界景気にとってベストである。

ところで、日本株にとってもう一つの困惑が広がっている。米国の株価指標であるNYダウ平均ナスダック指数が股裂き状態になっているのだ。NYダウは週末にかけて軟調となる一方、ナスダックは史上最高値更新である。

戦後、長くわが国の投資家はNYダウを崇め、これに従ってきた。ところが、アマゾンなど巨大プラットフォーマーが出現してから、ナスダックが米国市場の主流になってきたのだ。日本の投資家、マスメディアとも困惑の態となっていることは想像に難くない。これからは、日本の投資家は頭の切り替えを迫られることになろう。

●中小型株が物色の柱となるか

さて、今後の株価を見通す上で、週末にかけての値動きを検証したい。まず、NYダウは9日の下げで皮膚感覚では売りのシグナルが出ている。週末、週明けに急反発しないと徐々に上値が重くなっていこう。

一方、日本株は週末の下げで日経平均、TOPIXいずれも厳しくなってきた。週明け急反発しないと戻り売りに苦労することになろう。

直近の中段の保ち合いが崩れるかどうかに注視したい。これまでは危機があっても首の皮一枚つながって回復したが、今回はどうか。

こうした中での物色は、もちろん個別物色に力点が置かれるのはいうまでもない。中小型株が柱か。

注目株だが、まずは電算システム <3630>収納代行サービスからいまはソフト開発が売り上げを上回っている。次いで、オプティム <3694> が面白そうだ。第4次産業革命のリード企業を目指す。AIIoTビッグデータのマーケットリーダーといえる。

突然、大物が動き出した。ソニー <6758> だ。ここ高値圏でもみ合っていたが、週末にかけ急上昇し新高値更新が目前となっている。大型株だけになおさら要注目といえよう。

2020年7月10日 記

株探ニュース

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