来週の株式相場戦略=新型コロナ感染状況を横にらみの相場
7月第3週(13~17日)の日経平均株価は週初に大幅高となり、後半は軟化したものの、週間では405円(1.8%)高と3週ぶりに上昇した。
今週の日経平均は週明け13日に500円近い急伸をみせたが、後半尻すぼみとなった。前週(6~10日)も週初に400円を超える上昇をみせたが波に乗れず、という経緯であったが、今週もそれに似た形となった。あともうひと押しができず、2万2000~2万3000円前後のボックス圏往来が依然として続く形となっている。来週は東京市場では立会日が3日間しかないが、日程的に目ぼしい材料がなく、新型コロナ感染者数の増加とのにらめっこで、またそれに付随する経済的な規制が入るのかどうかというところが焦点となりそうだ。薄商いのなか様子見ムードとなりそうだが、先物主導でボラティリティが高まる可能性もある。日経平均のレンジは2万2200~2万3100円とみておきたい。
新型コロナウイルスの感染拡大に対して高を括っていたということはないが、現状を見渡してこれだけ米国などで新規感染者数に歯止めがかからないということは想定から外れていたと思われるし、同時に当初思い描かれていた経済のV字回復シナリオが遠くなったということに対する焦りもある。米国では16日の新型コロナ新規感染者数がついに7万人を超え過去最多を更新したという。今さらながら、これは1日当たりの感染者数であるから衝撃も大きい。日本でも東京都の新規感染者数が17日は293人と伝わり連日で過去最多となった。米国に比べれば微々たるものだが、検査を増やせば増やすだけ感染者数も増加してくるという状況にあり、公表される数字は氷山の一角であって全容が把握できないないという不気味さがある。株式市場は別次元と割り切るのも難しい意味がある。
しかし一方で、FRBを筆頭とする世界の中央銀行が超金融緩和策を継続していることは強い追い風であることに変わりはない。少なくとも3月下旬以降これまでの4カ月を振り返れば不景気の株高、金融相場の極みといってよい。当初はトランプ米大統領と対立的スタンスにあったパウエルFRB議長ですらMMT(現代金融理論)の信奉者に宗旨替えしたがごとく、現在のヘリコプターマネー状態を肯定する超ハト派に変貌した。これが、結果としてファンダメンタルズから連想を働かせた空売り筋の誤算となり、踏み上げ相場をもたらす格好となった。
ただ、当面はボックス相場を続けるようなイメージで見る市場関係者が多くなっている。日経平均が2万3000円を突き抜けて上値を追うには材料が乏しい。ワクチン開発への「期待」だけでは限界がある。他方、悪材料は山積しているが、とりあえず日米ともに下押せば過剰流動性で浮揚力が働く仕組みになっている。物色の方向性はグロースかバリューかの論議がかまびすしいが、おそらく半導体やIT関連は基本押し目買いで報われる地合いが続くと考える。グロースが牽引しなければ相場のボックス上限突破も実現しない。
気をつけたいのは個人投資家の土俵である新興市場。マザーズ指数が25日移動平均線に頭を押さえつけられる形で嫌なチャートとなっている。国内ネット証券によれば個人の信用取引は傷みがやや目立ってきている状況で、一波乱あれば投げを誘発するような局面を示唆している。キャッシュポジションは再び高めで維持しておきたい。
個別株では日本エンタープライズ<4829>が商いをこなし全員参加型材料株の片鱗をみせており引き続き注目しておきたい。また、不動産関連に意外性があり、新しいところではファーストコーポレーション<1430>が強い動きで目を引く。同社株は600円近辺が明確なフシとして意識されていたが、そこを陽線で突き抜けてきた。PERが8倍台と割安で、3.6%弱の配当利回りも実態面の良好さを物語る。このほか、グリーンエネルギー関連の一角で割安感の強いエフオン<9514>などもマークしてみたい。
日程面では、来週は週後半に海の日・スポーツの日と祝日が続くことで3営業日となる。週明けの20日に日銀金融政策決定会合の議事要旨(6月15~16日開催分)が発表される。21日は6月の消費者物価指数、20年国債の入札など。海外では6月の米シカゴ連銀全米活動指数が発表される。22日は国内では重要スケジュールは見当たらないが、米国で6月の中古住宅販売件数や5月のFHFA住宅価格指数など住宅関連の指標が発表される予定で注目されそうだ。(中村潤一)