伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 7月26日版
今週はNYダウ、日経平均が上昇できるかの最終段階の判断のポイントになる公算
1. NYダウは6月の安値を維持する展開になるかが焦点
今週の NYダウが上昇を開始するなら、NYダウ、 日経平均株価は本年年末へ向けて大幅高となる可能性を残します。今週はその最終判断の場所になります。
私の相場の見方は単純です。価格は「上げやすい時期に目標となる高値を目指す」「下げやすい時期にその時点での下値の限界を試す」という動きを繰り返しているだけなので、上げやすい時期に価格が上値重ければ、下げやすい時期へ入り、値幅の大きな下げ場面になって、下値を掘り下げると見るだけです。
前回7月19日の当欄で、NYダウは7月の価格が上げやすく、8月、9月が上値を抑えられやすい傾向があると紹介しました。1990年以降、年末へ向けて価格が上昇の流れを作り、年の前半の高値を大きく上回る展開になった年は、1993年、1995年、1996年、2003年、2006年、2009年、2013年、2014年、2016年、2017年、2019年があります。
2014年を除いたすべての年で共通する値動きは、年末までの期間で、6月~7月の範囲でつける安値に接近するような値動きが表れず、上昇の流れを作っているということです。
2014年は10月に日銀が追加の量的な金融緩和を実施して、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国内、海外の株式の保有比率を増やすことを発表し、日経平均、NYダウとも、それまでの上値重い動きが転換して、10月末以降に急上昇を開始した年です。2014年は8月、9月に6月~7月の安値を下回っていますが、例年にはない買い材料が出たことで表れた動きのため、除外しておきます。
過去の動きを見ると、年末へ向けて大幅な上昇場面を作る場合、6月、7月の安値が押し目になって、6月から7月にかけて値幅の伴った上げを経過し、8月、9月に価格が下げても、下値堅く推移して、年末へ向けた上昇の準備の動きとなります。
8月、9月の期間で、価格が6月から7月の安値を割れる動きになる場合、年末へ向けて価格が上昇しても、年の前半の高値を目指す動きとなる程度で終わります。年末に年間の最高値をつける動きとなっても、年の前半の高値を若干超える程度の地点になっています。