【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─コロナ禍においても光る需要+調整一巡感で銘柄選別!

市況
2020年8月1日 8時00分

「コロナ禍においても光る需要+調整一巡感で銘柄選別!」

●アドバンテスト決算で一変した景色

今週は決算発表が本格化する中、アドバンテスト <6857>の決算によって景色が一変してしまった。米国でGAFA銘柄をはじめグロース株への資金流入が続いていたこともあり、日本株市場でも同様にグロース株への物色が続いていた。しかし、アドバンテストの「今期最終利益33%減益見通し」によって、これまでの5Gサービス本格化に伴うハイテクセクターの成長期待といった楽観論が消し飛んだ。東京エレクトロン <8035> 、富士通 <6702>、アンリツ <6754>など好調な決算もみられるが、アドバンテストのインパクトは大きかった。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらず、東京都が飲食店等に営業時間短縮を要請するなど、経済活動再開による景気回復期待も後退してきている。加えて、米中対立の緊張の高まりや、為替の円高基調も押し目買い意欲を鈍らせる一因となる。

週末の大幅な下げによってセンチメントは悪化し、自律反発が意識されるものの、戻り待ちの売り圧力が警戒されやすく、積極的な上値追いは限られる。また、この数日は日銀のETF買い入れによる需給を上回る売りが出ており、押し目も拾いづらくなった。

来週は決算発表の第2弾のピークとなるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による業績悪化は想定されているものの、実際に数字として示されると改めて売り直される状況でもある。また、米雇用統計など重要な経済指標の発表も控えている。米4-6月の実質国内総生産(GDP)速報値が過去最大の悪化となったことから、雇用統計の弱さも織り込んでいるだろうが、これを見極めたいとする模様眺めムードに向かわせよう。

そのほか、来週には先週の4連休期間において感染したコロナ感染者の数字が表面化してくる。感染者が地方などで大幅に増加するようだと、売り仕掛け的な売買が膨らんでくる可能性も意識しておく必要がある。そのため、物色の流れとしては、インデックス売買の影響を受け難い中小型株に資金が向かいやすいと考えられる。決算を受けた日替わり的な売買のほか、需給整理が一巡し下値リスクの小さい銘柄などの自律反発を意識した消極的な物色になりそうだ。そのため、今回はコロナ禍においても需要が見込まれ、足元で調整一巡感が意識される銘柄を中心に選定している。

●今週の活躍期待「注目5銘柄」

◆安田倉庫 <9324>

医薬品や医療機器などの保管や輸送を手掛けており、直近ではOKI<6703>と連携し、医療機器の流通と保守・修理を一括で手掛けるサービスを8月1日に始める。医療現場では新型コロナの感染を防ぐための対応が増えているほか、製薬各社がワクチン開発を進めており、今後開発に成功して当局の承認を得た場合、医薬品の保管や輸送を手掛けるサプライヤーへの需要が高まる。株価は足元弱い値動きにあるが、保ち合いレンジの下限に接近しており、中長期目線で拾っておきたい。

◆MonotaRO <3064>

20年12月期第2四半期累計(1-6月)業績は営業利益が前年同期比22.7%増の93.18億円だった。市場コンセンサスの範囲内で、サプライズはない。通期計画を据え置いていることから、週初は利益確定の売りが先行する可能性がありそうだ。ただし、ECの利用者が増加しており、6月の月次売上高は3割増である。コロナ禍の中で引き続き需要期待は大きく、押し目狙いのスタンスで注目したい。信用倍率は1倍を下回る売り長の取組状況であり、底堅さが意識される場面においては買い戻しを誘う流れも期待される。

◆パシフィックネット <3021> [東証2]

収益の変動が大きなフロー中心から、持続的成長が可能なストック中心の収益・事業構造へ転換しており、PCサブスクリプション、ITサービスが堅調。21年5月期営業利益も21.1%増と2ケタ増益を見込む。企業・学校・官公庁向け需要は今後も伸びると考えられ、利益成長が強まっている。決算を受けて買われた後は調整が続いているが、ボトムレンジでの底堅さが意識されており、仕切り直しに期待。

◆メドピア <6095> [東証M]

医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営。医師向け臨床やキャリア支援、マーケティング支援などを展開。全国の医師と管理栄養士のネットワークを活用して、企業や健康保険組合における従業員の健康管理・予防もサポートしている。コロナ禍において医療従事者向けのみならず、企業の従業員への健康管理が重要となる中、需要期待は大きいだろう。

◆出前館 <2484> [JQ]

飲食店向けの出前仲介サイト「出前館」を運営。積極的な事業展開と投資の実行で販管費が膨らみ、20年8月期第3四半期累計(19年9月-20年5月)の営業損益が16億円の赤字に転落したことが嫌気され、膠着感の強い相場展開が続いていたが、東京都内で新型コロナの新規感染者数が連日で過去最多を更新しているほか、飲食店などへの営業時間の短縮要請を背景に、改めて宅配需要の高まりが期待される。信用取組は売り長であり、高値接近ともなれば買い戻しを誘う流れに。

2020年7月31日 記

株探ニュース

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