富田隆弥の【CHART CLUB】 「夏休みの8月、下放れに注意」
◆「コロナ不況」vs「金融・財政支援」という構図で、日経平均株価は2万2000円台、TOPIXは1500ポイント台でともに膠着が続く。その構図は米国も同じで、NYダウとナスダックはこのところ25日移動平均線を下値とするもみ合いとなってきた。膠着相場は「放れに従う」のがチャートの基本であり、この後どこかで表れる放れ足がポイントになることは言うまでもない。
◆ただ、直近の相場は日米とも下値の節に迫っている。7月30日の本稿執筆時点で、日経平均株価は2万2339円と5日続落でレンジ下限の2万2000円に迫り、 TOPIXは1539.47ポイントと3日続落でやはり往来下限の1530ポイントに差し掛かる。30日の米国株はザラバ段階ながら、NYダウ平均が一時2万5992ドルまで下げ、25日移動平均線と200日移動平均線の重なる2万6200ドル水準を一時割り込んだ。 ナスダックは25日移動平均線(1万400ポイント処)を維持するものの、24日には一時割り込んでいる。つまり、日米ともに再び下値攻防の正念場に来たと言える。
◆29日までのFOMC(連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備理事会)は緊急資金供給プログラムの期限を年末まで延長することを決めた。米国の4-6月GDP速報値が前期比年率32.9%減と1947年の統計開始以来で最大の落ち込みとなったほか、フロリダ州やカリフォルニア州などで新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、FRBは大胆な金融緩和政策を続ける意図をはっきりと示した。
◆この金融政策を背景に米国株は25日移動平均線を下値に切り返す可能性は十分にある。だが、時は8月。夏休みの時期となり海外投資家の多くが休暇に入り、株式市場は手仕舞い売りで下げることは珍しくない。日本も8月はお盆でマーケットは薄商いとなり、安値をつけに行く習性がある。
◆膠着相場だけにどちらに放れてもおかしくないが、為替(ドル・円)が29日に一時104円78銭まで円高に振れ、107円台の膠着を下放れたこともあり、8月の株式市場も下放れには注意しておきたい。
(7月30日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース