【植木靖男の相場展望】 ─加権指数30年ぶりの最高値更新は何を示唆する?

市況
2020年8月8日 8時00分

「加権指数30年ぶりの最高値更新は何を示唆する?」

●市場に潜む、天下を知る桐一葉

案の定というか、“こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればこちらが立たず”の結果、Go toキャンペーンはぐちゃぐちゃとなり、政権への信頼は溶解しつつあるようだ。このことは株価にとってマイナスとなるのかどうか、後々の検証が待たれるところだ。

さて、日経平均株価は依然として二段目の中段の保ち合いの中にあり、方向性は全くみられない。ただ、株価の水準が比較的高値圏にあることは誰しも認めるところだ。

こうした状況下で、買い方の強気説はどこにあるのか。客観的にみて先進国は財政・金融政策の組み合わせで実質金利がマイナスになっている。つまり、預金しておけば損が増えるのだ。よって、金(ゴールド)もしくは株式などに投資せざるを得ない。米国長期金利は依然として低下傾向にありドル安にある。

金利が上昇しない限り、実質金利のマイナスは解消されない。したがって、金利が低下傾向にある限り、株高現象は続くということになる。

実際、米国ナスダック指数は史上最高値にあり、出遅れたNYダウもあと200ドルも上がれば6月の戻り高値を更新する。となれば、8月はもちろん、9月も高値更新が続くということになる。日本株もいま、円高・ドル安でやや方向性を見失っているが、ほどなく上昇基調に戻るとみる。まずは二段目の保ち合いの上限である6月高値の2万3178円突破を目指す(終値ベース)。

一方、弱気説はどうか。日本のマクロ経済は、20年のGDPは5%ほどのマイナス成長は必至。つまり、27兆円ほどのマイナスだ。これを取り返すのは、半年や1年では無理。株価は高すぎるとみる。はたして、軍配はどちらに上がるか。

昔、T証券のI社長は“桐一葉、落ちて天下の秋を知る”と中国の故事をもじって燃えたぎった株価の天井を当てたことが語り草となったが、現状、桐一葉は落ちず、むしろ繁茂し続けているかにみえる。

もし桐一葉があるとすれば、やはり金利の上昇であろう。この一点を睨んでいれば、天下の秋を知ることは可能ともいえそうだ。

桐一葉といえば、かつて平成バブルの時、石川島播磨重工(現IHI <7013> )がウォーターフロント銘柄の花形として急騰したが、PER100倍を超えて急落、バブル終焉の象徴となった。桐一葉はどこかに潜んでいる。

●主役はハイテクだが、好業績銘柄に絞って待ちの構え

ところで、ここへきての物色対象は日替わりで変化しつつあるようだ。ただ、米ナスダック指数の史上最高値更新、そして台湾の加権指数の30年ぶりとなる史上最高値更新をみる限り、やはりハイテク株が主役であることは間違いなさそうだ。

とはいえ、投資家の希望の星であったレーザーテック <6920> やアドバンテスト <6857> の急落をみると、ハイテク株への不信もあり、腰が引けてしまうのも無理からぬところ。

当面は日本株の米国株追撃の動きが出るまでは、決算発表シーズンだけに業績が良い銘柄に絞って、じっくり待つ姿勢の投資に徹したい。

イビデン <4062>5Gデータセンター向け半導体パッケージ基板の需要拡大に注目。

バリューコマース <2491> もおもしろそうだ。成果報酬型広告のアフィリエイトが主力。

トレンドマイクロ <4704> 。ウイルス対策ソフトが主力。国内外でクラウドサービスやセキュリティソフトが伸びる。株価はボラティリティが大きいが、押し目は買いとみる。

2020年8月7日 記

株探ニュース

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