米国株式市場見通し:追加経済対策が引き続き相場押し上げ

市況
2020年8月8日 14時44分

新型コロナウイルス追加経済対策への期待が相場を押し上げそうだ。経済対策を巡る共和党・民主党の見解に大きな隔たりがあり交渉が長引く可能性があるものの、「経済に追加支援が必要」という点では一致しており、いずれ支援が決定されることは明らかだ。議会の交渉が長期化した場合、時間稼ぎでトランプ大統領は大統領令を発令し、家賃未払いによる立ち退き猶予や失業給付金の延長を視野に入れた大統領令を策定していることを明らかにした。学生ローン返済猶予や給与税減税なども盛り込まれる模様で、どちらにしても景気を支えられる。

現状で、ウイルス再燃により回復ペースの鈍化が長引くと悲観的な見方が広がっているが、同時に世帯の第2四半期の貯蓄率は26%に達しており余剰資金が十分であることを示している。政府が大規模な財政支援を供給し、大統領が指摘した通り11月3日の大統領選までにウイルスワクチンや治療薬が完成し年内の実用化のめどがたち活動の再開が本格化した際には、経済の反動はかなり大きいものになりそうだ。

一方で、ハイテクは米中対立が重しとなる可能性がある。トランプ大統領は国家安全保障の観点から、中国のアプリ、TikTokを運営するバイトダンス社とWeChatを運営するテンセント社との取引を45日後に禁止する大統領令を発令した。また、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に対する制裁を検討するなど対中政策を強化している。緊張が高まる中、米中高官は、第1段階貿易協定の進捗状況の見直しをする会合を15日前後に予定しており今後の関係を探る上で注目したい。

経済指標では、6月JOLT求人件数(10日)、7月PPI(11日)、7月CPI(12日)、7月輸入物価指数(13日)、7月小売売上高、7月鉱工業生産、設備稼働率(14日)などが予定されている。米国経済の7割を消費が占めるため7月小売り売上高の結果に特に注目したい。5月に18.2%増と過去最大の伸びを示したのち、6月に7.5%増、7月には1.7%増と大幅な鈍化が予想されている。消費回復の停滞が再度確認される可能性があり注視が必要だ。

企業決算では大手ホテルチェーンのマリオット、不動産のサイモンプロパティ、ロイヤルカリビアン(10日)、ITのシスコシステムズ、配車サービスのリフト、オンライン保険会社のレモネード(12日)、大手百貨店のメーシーズ(13日)、オンラインギャンブルを運営するドラフトキング(14日)などが予定されている。メーシーズは段階的に営業を再開しており、最悪期は脱したことへの期待が集まる。ドラフトキングはパンデミックの在宅が奏功し業績の一段の拡大が期待される。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.