為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、米国経済の先行き不透明感残る
【今週の概況】
■景気回復期待でドルは底堅い動きを保つ
今週のドル・円は底堅い動きとなった。8月3日発表の7月米ISM製造業景況指数は市場予想を上回ったことから、ドル買い・円売りが優勢となった。米国の追加財政策をめぐる交渉は難航していることから、ドルは106円台半ば近辺で上げ渋ったが、5日発表の7月米ISM非製造業景況指数は予想外に改善し、リスク回避的なドル売りは一服した。
7日のニューヨーク外為市場でドル・円は105円55銭まで下落後、一時106円05銭まで買われた。米政権と民主党指導部の間で行われていた新型コロナウイルスの追加経済対策法案に関する交渉は、物別れに終わったことから、ドル売りが一時優勢となったが、この日発表された7月雇用統計は市場予想を上回る内容だったことから、持続的な景気回復への期待が広がり、長期債利回りの上昇に伴うドル買いが優勢となった。ドル・円は105円92銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:105円30銭-106円47銭。
【来週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、米国経済の先行き不透明感残る
来週のドル・円は上げ渋りか。米国経済の先行きは依然として不透明であることから、主要通貨に対するリスク選好的なドル買いが拡大する可能性は低いとみられる。米国での新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するなか、雇用関連指標のさらなる改善は難しい状況となりそうだ。7月雇用統計は市場予想を上回る内容だったものの、週間の新規失業保険申請件数は100万件を大幅に上回る状態が続いており、米国経済の先行き不安は消えていない。
米連邦準備制度理事会(FRB)も今後の回復シナリオには慎重で、米10年債利回りは節目の0.50%に接近している。長期金利が持続的に上昇する可能性は低いとみられており、主要通貨に対するドル安の流れに変わりはなさそうだ。米政権と民主党指導部による追加の新型コロナウイルス経済対策を巡る協議が8月7日までに物別れに終わったことから、株価指数の調整も意識されそうだ。なお、足元でユーロ高・米ドル安は一服しつつあり、ドル・円の取引でも短期的にドル売り圧力が多少弱まる可能性は残されている。
【米・7月消費者物価コア指数】(12日発表予定)
12日発表の7月消費者物価コア指数(コアCPI)は前年比+1.1%とやや鈍化する見通し。ただし、消費や成長の鈍化でインフレ鈍化は織り込み済みであり、為替相場への影響は限定的とみられる。
【米・7月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の7月小売売上高は前月比+1.7%と、6月実績の+7.5%から伸びは鈍化する見通し。市場予想を下回った場合、持続的な景気回復について懐疑的な見方が広がり、ドル売り要因になりそうだ。
予想レンジ:104円50銭-107円00銭
《FA》