S&P500 月例レポート ― 1面トップに居座る新型コロナとマーケットの楽観 (3) ―

市況
2020年8月14日 13時31分

●注目点

○7月も経営破綻の波が続きました。

⇒Pizza Hut(YUM)の約1225店舗とWendy's(WEN)の約385店舗を運営する、レストランフランチャイズのNPC Internationalが、連邦破産法11条の適用を申請しました。

⇒200年の歴史を持つ小売り大手Brooks Brothersが、Neiman Marcus、J. Crew、J. C. Penneyに続いて破産法の適用を申請しました。

⇒ファッションチェーンのAnn TaylorとLane Bryantのオーナーである婦人服小売業者のAscena Retail Group(ASNA)が、破産法による保護の申し立ての適用を申請し、11条適用の下で事業を続けています。

○30年物住宅ローン金利は2.98%となり、(50年の歴史で)過去最低を更新しました。同金利が最高を付けたのは1980年代で18%でした。

●利回り、金利、コモディティ

○米国10年債利回りは6月末の0.65%から0.54%に低下して月を終えました(2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは6月末の1.41%から1.20%に低下して月末を迎えました(同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

○英ポンドは6月末の1ポンド=1.2388ドルから1.3081ドルに上昇し(同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは6月末の1ユーロ=1.1235ドルから1.1778に上昇しました(同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は6月末の1ドル=107.99円から105.87円に上昇し(同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は6月末の1ドル=7.0655元から6.9752元に上昇して月を終えました(同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

○原油価格は(4月に一時マイナスに落ち込んだ後)6月末の1バレル=39.67ドルから40.43ドルに上昇して月を終えました(同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、6月末の1ガロン=2.260ドルから2.265ドルに上昇して月末を迎えました(同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

○金価格は6月末の1トロイオンス=1799.40ドルから上昇し、月中に過去最高となる1996ドルを付け、1994.20ドルで月を終えました。(同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

○VIX恐怖指数は6月末の30.43から24.46に下落して月末を迎えました。月中の最高は33.67、最低は23.55でした(同13.78、同16.12、同11.05)。

●世界の株式市場

○世界の株式市場は引き続き幅広く上昇し、コロナ禍に起因する下落を回復しつつあります。ただし、一部の地域で感染率が上昇する中、回復はまちまちとなっています。7月は50市場中42市場が上昇し、45市場が上昇した6月から減少しましたが、41市場が上昇した5月をなお上回りました。7月は米国の一部の地域で経済活動の再開がちぐはぐな展開となったために、米国市場は当初の力強い反発から鈍化しましたが、それでもグローバル市場を上回るパフォーマンスを上げました。

○世界の株式市場は、6月に3.03%上昇した後(米国の2.15%上昇を除くと4.15%の上昇)、7月に全体で4.90%上昇しました(米国の5.53%上昇を除くと4.12%の上昇)。過去3ヵ月間では世界の株式市場は12.90%上昇(米国の13.33%上昇を除くと12.37%)、年初来では3.44%下落(米国の0.85%上昇を除くと8.361%の下落)しました。過去1年間では4.03%上昇し、米国の8.70%上昇を除くと1.32%の下落となっています。より長期でも米国のパフォーマンスが突出しています。過去2年間では、グローバル市場は3.95%の上昇でしたが、米国の14.02%上昇を除くと6.71%の下落でした。過去3年間ではグローバル市場は13.34%上昇しましたが、米国の30.32%上昇を除くと3.23%の下落でした。

⇒2016年11月8日の米大統領選以降では、グローバル市場は32.02%上昇しましたが、米国の51.00%上昇を除くと13.28%の上昇でした。

○7月のまとめ

⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は2兆6970億ドル増加しました(6月は1兆6930億ドル増)。米国以外の市場の時価総額は1兆180億ドル増加し(同1兆1130億ドル増)、米国市場は1兆6790億ドル(同5800億ドル)増加しました。

⇒新興国市場は7月に7.78%上昇し(6月は7.11%上昇)、過去3ヵ月間では16.64%上昇、年初来では4.25%の下落、過去1年間では0.09%の上昇となっています。

⇒先進国市場は7月に4.54%上昇し(6月は2.55%上昇)、米国を除くと2.90%の上昇(同3.21%上昇)となっています。過去3ヵ月間では12.43%上昇(同19.36%上昇)、米国を除くと10.95%上昇(同15.99%上昇)、年初来では3.34%下落(同7.54%下落)、米国を除くと9.71%下落(同12.25%下落)、過去1年間では4.23%の上昇(同0.04%下落)、米国を除くと2.56%の下落(同6.61%下落)となりました。

○7月は11セクター中10セクターが上昇し、セクター間のばらつきは再び拡大しました(6月は8セクターが上昇、5月と4月は11セクターが揃って上昇ました)。パフォーマンスが最高のセクター(素材、7.66%上昇)と最低のセクター(エネルギー、1.72%下落)の騰落率の差は9.38%(過去1年間の平均は9.31%)と、6月の8.25%と5月の6.10%から拡大しました。

○新興国市場は7月に6.46%上昇しました。6月は7.11%の上昇、5月は1.04%の上昇でした。過去3ヵ月間では15.21%の上昇、年初来では5.42%の下落となりました。過去1年間では0.91%上昇、過去2年間では2.23%下落、過去3年間では0.68%上昇しています。

⇒7月は25市場のうち18市場が上昇しました。これに対して6月は22市場が上昇し、5月は18市場が上昇しました。ブラジルのパフォーマンスが最も良好で、7月は14.18%上昇しました。年初来では30.10%の下落にとどまり、過去1年間では26.12%下落しています。次いでパフォーマンスが良かったのはパキスタンで、7月に13.40%上昇しましたが、年初来では16.12%下落、過去1年間では5.05%上昇しています。3番目にパフォーマンスが良かったのは台湾で、7月に10.30%上昇し、年初来では9.25%上昇、過去1年間では26.21%上昇しています。パフォーマンスが最低だったのはトルコで、7月に5.59%下落し、年初来では18.00%の下落、過去1年間では15.56%の下落となりました。2番目にパフォーマンスが振わなかったのはクウェートで、7月に3.63%下落し、年初来では22.24%下落、過去1年間では18.71%下落しました。3番目はフィリピンで、7月に3.32%の下落、年初来では22.89%の下落、過去1年間では25.19%の下落となりました。

○先進国市場は5月の4.88%上昇、6月の2.55%上昇の後、7月も全体で4.54%上昇しました。米国の5.53%上昇を除くリターンは2.90%の上昇でした(6月は3.21%上昇、5月は4.47%上昇)。先進国市場は過去3ヵ月間では12.43%の上昇(米国を除くと10.95%の上昇)、年初来では3.34%の下落(同9.71%の下落)でした。過去1年間では4.23%の上昇(同2.56%の下落)、過去2年間では4.52%の上昇(同7.85%の下落)、過去3年間では14.71%の上昇(同4.89%の下落)となりました。

⇒7月は25市場のうち24市場が上昇し、それ以前の3ヵ月の23市場を1つだけ上回りました。パフォーマンスが最高となったのはノルウェーで10.71%上昇し、年初来では16.64%の下落、過去1年間では11.11%の下落となりました。2番目はスウェーデンで、10.10%上昇し、年初来では7.64%上昇、過去1年間では21.24%上昇しました。3番目はフィンランドで、9.15%上昇し、年初来では1.79%の上昇、過去1年間では8.49%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのは日本で、2.00%下落し、年初来では10.72%の下落、過去1年間では12.02%下落しました。これに続いたのがスペインで、0.34%上昇し、年初来では23.52%の下落、過去1年間では19.65%の下落となりました。3番目は香港で、0.62%上昇し、年初来で9.83%下落、過去1年間では12.90%下落しました。

⇒注意すべき点として、カナダは6.22%の上昇(年初来では8.13%の下落、過去1年間では3.32%の下落)、ドイツは4.48%の上昇(同4.69%の下落、同4.64%の上昇)、英国は1.89%の上昇(同23.61%の下落、同16.65%の下落)でした。

「1面トップに居座る新型コロナとマーケットの楽観 (4)」へ続く

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