明日の株式相場に向けて=トランプ氏コロナ感染と大統領選への思惑
週明け5日の東京株式市場はリスクを取る動きが強まり、日経平均株価が一時300円を超える上昇となった。大引けは手仕舞い売りが出てさすがに伸び悩んだとはいえ、282円高の2万3312円とそれほど上ヒゲを出さずに着地しており、基本的に今の地合いの強さを印象づけている。前週末の取引終盤に判明したトランプ米大統領の新型コロナ感染はネガティブサプライズを与えたが、その後トランプ氏の症状は改善傾向をたどり、5日に退院するとも伝わったことで空売り筋の買い戻しを誘発したもようだ。
ただ、大統領選の行方についてはバイデン氏有利との見方が一段と強まっている。市場関係者によると「一時ほどバイデン新政権への拒絶反応はなく、とりあえずは追加経済対策がまとまることへの関心が高い」(中堅証券アナリスト)という指摘がある一方、「トランプ氏の回復を好感したということはマーケットが“次もトランプ大統領”を望んでいるという証左だ。大統領選でバイデン氏が勝利するという点について、現段階でそのコンセンサスが米国株市場に浸透しているとはいえず、(米株は)波乱リスクを内包する」(国内証券アナリスト)という慎重な見方も出ていた。
今週は漸次各部門の発表が予定されるノーベル賞関連についても注目度が高いが、5日は医学生理学賞が発表されるということもあって、テラ<2191>などマザーズ市場を中心とするバイオ関連株に買いが目立った。また、東証1部では全体の87%の銘柄が上昇するなか、主力どころの東京エレクトロン<8035>をはじめ半導体製造装置関連の一角が逆行安をみせていたのが特徴的だった。売買代金はかろうじて2兆円台には乗せたものの盛り上がりを欠いている。あす6日はノーベル物理学賞が発表されるが、カーボンナノチューブ関連でGSIクレオス<8101>や超電導関連でアイシン精機<7259>などに思惑含みの買いが観測されていた。
あすのスケジュールでは、海外で豪中銀が政策金利を発表するほか、米国では8月の貿易収支に注目が集まる。また、パウエルFRB議長の講演が行われる予定。