話題株ピックアップ【夕刊】(2):日本製鉄、USENHD、NTT
■日本製鉄 <5401> 1,109円 +37 円 (+3.5%) 本日終値
日本製鉄<5401>、ジェイ エフ イー ホールディングス<5411>などいずれも4日続伸と上値指向を強めている。鉄鋼株にここ押し目買いが観測されている。業績面は引き続厳しいもののPBRの低さが際立っており、見直し機運が台頭している。また、経済産業省が7日に20年10~12月期の国内粗鋼生産量が前年同期比10.7%減の2111万トンになるとの見通しを発表したが、前年同期比2ケタの減少とはいえ足もとは需要が回復傾向にあり、3四半期ぶりに2000万トンの大台に乗せる見込みにあることから、鉄鋼セクターの株価にはポジティブ材料とみなされた。
■USENHD <9418> 1,349円 +34 円 (+2.6%) 本日終値
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>が5日続伸。きょう付の日本経済新聞朝刊で「2020年8月期の連結営業利益は前の期比3割増の105億円強になったもようだ」と報じられており、これが好材料視された。記事によると、コロナ下の巣ごもり需要から音楽のコンテンツ配信事業が伸びたほか、テレワークの広がりで、中堅・中小企業を中心にネットワーク環境の構築やセキュリティーサービスなど開発案件が伸びたという。同社では、7月10日に業績予想の修正を発表していたが、この修正値も上振れて着地したとしている。
■日本電信電話 <9432> 2,311円 +15.5 円 (+0.7%) 本日終値
NTT<9432>は続伸。NTTドコモ<9437>に対する株式公開買い付け(TOB)による完全子会社化を発表したが、巨額の買収資金の負担による財務体質悪化も懸念され、株価は軟調な値動きを続けていた。しかし、足もとでは値ごろ感からの買いが入り、反発局面となっている。そんななか、SMBC日興証券は7日、NTTドコモの完全子会社化が成立した場合の携帯料金引き下げを想定したうえでの業績予想を公表した。具体的には、21年3月期の連結営業利益は1兆6030億円が1兆6000億円に、22年3月期の同利益は1兆7000億円を1兆6700億円と下方修正を見込んでいる。ただ、ドコモ分の非支配持ち分利益が減少するため、同社の22年3月期以降の一株当たり利益(EPS)予想は10%以上、上方修正されるとみている。同証券ではNTTの投資評価は「1」、目標株価は3100円としている。
■トヨタ自動車 <7203> 7,034円 +31 円 (+0.4%) 本日終値
トヨタ自動車<7203>が4日続伸。前日の米国株市場ではNYダウ500ドルを超える上昇で大きく切り返したほか、リスクオンの流れを受けて外国為替市場ではドル買いが優勢となり、ドル・円相場は1ドル=106円台に入る円安に振れている。これを受けて輸出セクターの中でも際立って為替感応度の高い同社株は、輸出採算改善の思惑が株高を助長している。同社の21年3月期通期の想定為替レートは1ドル=105円で設定されており、実勢は円安メリットが期待できる局面にある。
■ベル24HD <6183> 1,675円 -103 円 (-5.8%) 本日終値 東証1部 下落率7位
ベルシステム24ホールディングス<6183>は続伸スタート後、値を消す展開。7日の取引終了後に発表した21年2月期上期(3~8月)の連結決算(国際会計基準)は、売上高668億7100万円(前年同期比6.1%増)、税引き前利益64億1600万円(同14.3%増)と増収増益を達成した。新型コロナウイルス禍による新規業務の遅れでコールセンターの継続業務の伸びは限定的だったが、コロナ関連の大型スポット業務を獲得したほか、伊藤忠商事<8001>との協業強化によるシナジー案件が伸び、増収を確保した。また、退職率の低下によるコスト抑制も増益につながった。
■HIOKI <6866> 3,805円 -225 円 (-5.6%) 本日終値 東証1部 下落率9位
HIOKI<6866>が続急落。7日の取引終了後、非開示だった20年12月期の連結業績予想は、売上高210億円(前期比7.9%減)、経常利益23億4000万円(同21.1%減)になりそうだと発表しており、これが嫌気された。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により合理的な算定が困難であることから未定としてきたが、現時点で入手可能な情報に基づいて業績予想を算定したという。業績の悪化を踏まえ、未定としていた今期の年間配当を60円(前期は90円)の実施としたこともネガティブ材料となった。
■ウエルシア <3141> 4,335円 -75 円 (-1.7%) 本日終値
ウエルシアホールディングス<3141>が反落。同社が7日取引終了後に発表した20年3~8月期営業利益は前年同期比44%増の264億8100万円と急増した。同期間として過去最高更新となった。新型コロナウイルス感染拡大を背景に在宅機会が増えたことで、調味料などの食品の売り上げが大きく伸びた。また、引き続きマスクや除菌関連商品などコロナ感染予防商品が収益を押し上げることが予想されるなか、21年2月期業績も従来見通しを大幅増額、営業利益は388億円から433億円(前期比15%増)に上方修正しており、過去最高利益が上乗せされる見込み。ただ、株価は好業績を事前に織り込んでおり目先出尽くし売りの様相に。9月末を境に既に調整局面にあったが、きょうもその流れを引き継ぐ格好となった。
■スズキ <7269> 4,795円 -16 円 (-0.3%) 本日終値
スズキ<7269>が4日ぶりに反落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は7日、同社株のレーティングを「オーバーウエイト」から「ニュートラル」に引き下げた。目標株価は5500円から4400円に見直した。インド新車販売は金融機関の不良債権問題や新型コロナウイルスの影響などから、22年3月期のV字回復は期待できないと予想。また、欧州の環境規制の高まりや、国内自動車販売の減速などを見込んで業績見通しの下振れなどを想定している。21年3月期の連結営業利益は同証券による従来予想3300億円を1320億円(前期比38.6%減)に見直したほか、22年3月期の同利益は3700億円から1770億円に修正している。
■サクサホールディングス <6675> 1,328円 +234 円 (+21.4%) 本日終値 東証1部 上昇率トップ
サクサホールディングス<6675>が急騰。7日の取引終了後、不適切な会計処理に関する調査報告書を特別調査委員会から受領したと発表しており、これが材料視された。同社は調査報告書の受領を受け、20年3月期有価証券報告書、21年3月期第1四半期報告書、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出に向けて作業を進めており、10月12日までに提出する予定という。12日までに提出ができなかった場合、整理銘柄に指定された後に上場廃止となることから、これを回避できる見込みになったことが好感された。
株探ニュース