明日の株式相場に向けて=DX関連狂い咲きでも過熱感なし
週明け12日の東京株式市場は様子見ムードのなかやや売りに押される展開に終始、日経平均株価は61円安の2万3558円と続落した。
前週末の欧米株市場が総じて高く、きょうのアジア株市場も中国や香港などをはじめ軒並み強い動きを示したが、日本株市場だけ蚊帳の外のような状況と言えなくもなかった。ただ、日経平均は前週1週間で600円近い上昇をみせていたこともあり、ここでの一服は仕方のないところではある。一方、マザーズ市場の強さは相変わらずできょうで6連騰、2年8カ月ぶりの高値圏に歩を進めた。
デジタルトランスフォーメーション(DX)関連株の“狂い咲き”といえば語弊があるかもしれないが、片っ端からITソリューションに絡む銘柄が買われている。足もとの業績云々ということを考えているうちに乗り遅れてしまう、投資資金の流入スピードの速さを見るにつけ、そんな焦りさえ伝わってくる。この流れは今始まったことではないが、振り返れば菅首相が総裁選前に言及した「デジタル庁」新設の話がギアチェンジ(物色人気の加速)を促したようにもみえる。金融、不動産、建設、医療、教育、小売、農業、介護といったあらゆる産業においてデジタルとの融合が成長の必須条件というコンセンサスが浸透している。小売業界のDX関連ではヴィンクス<3784>、金融及び官庁DXに絡み5G関連でもあるアイ・エス・ビー<9702>。このほか6月の株式分割後も順調に下値を切り上げるノムラシステムコーポレーション<3940>などが改めて注目される可能性もありそうだ。
これをバブルと呼ぶのであれば、米国株市場のテスラを見よということになるのかもしれない。日本の個別株の時価総額は比べる価値もないくらいに小さい銘柄が集まっている。例えば、マザーズの値運びは確かに特筆される強さだが、いまだマーケットとしての市場規模は時価総額で10兆円に満たない。ソニー<6758>1社の時価総額とマザーズ全銘柄の時価総額合計とはほぼ同水準というのが現実だ。中小型株に急騰銘柄が相次ぐが、少々のスピード違反は許されるムードにはなっている。
あすのスケジュールでは、9月のマネーストックが朝方取引開始前に開示。また、東証マザーズ市場に日通システム<4013>が新規上場する。海外では9月の中国貿易統計、9月の米消費者物価指数(CPI)など。欧州では10月のZEW独景気予測指数も発表される見通し。(銀)