明日の株式相場に向けて=確変「テスラ」モード突入のマザーズ人気株
きょう(14日)の東京株式市場は売りに押される展開で始まったものの、例によって下値抵抗力を発揮し、日経平均株価は後場に入って前日終値を上回ってきた。結局24円高の2万3626円と小幅続伸して引けている。ただし、見送りムードは拭えず、値下がり銘柄数が値上がりを大幅に上回り、TOPIXはマイナス引けだった。
引き続き上値が重い状況だが、ひと頃のようなアルゴリズムを作動させて売り崩しを狙うような動きも皆無といってよい。後場寄りにプラス転換となり、きょうも日銀ETF買い観測が取り沙汰されていた。実際、10月に入ってから前日までの段階では、日銀は一度もETFの買い入れを行っていない(新型ETF12億円は除く)。受け皿となるような売りニーズが存在しないような状況だが、米大統領選の結果が判明するまでは、見切り発車的に買いポジションを高める動きも出にくい。「ダラダラとした方向感のない展開が続く公算が大きい」(準大手証券ストラテジスト)という声が聞こえてくる。
ただ、これまでにも何度かふれてきたがマザーズ市場は別世界。前日に7日ぶりにマイナス圏で着地し小休止となったが、きょうは改めて買い直され14年2カ月ぶりの高値を更新した。個人投資家の信用買い残は既にコロナ前の水準を上回っている状況であり、マザーズ市場に限れば投資マインドは“強気一辺倒”といってよい。しかし、銘柄の物色模様はだいぶ変化しているようだ。
「時価総額の大きい銘柄に投資マネーが偏重している。全体的に押しなべて買われているわけではない。これは米国株市場の箱庭的な様相を呈してきた」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘がある。マザーズ時価総額2位のフリー<4478>をはじめ、弁護士ドットコム<6027>、BASE<4477>、Sansan<4443>、マネーフォワード<3994>など、大きく買われているのは時価総額上位銘柄で、しかも足もとの業績は悪くてもテーマ性に富む銘柄であればそれでOK、といったムードが漂う。
これもまた相場というよりないが、危うさも漂う。「マザーズの人気銘柄はいわば米EV大手のテスラのようなテイストで買われている」(同)というが、言い得て妙である。ちなみにマザーズの時価総額上位にあって足もとの業績面も好調なのはラクス<3923>、JMDC<4483>、AI inside<4488>などが挙げられるが、これらもPERからは妥当性を主張しにくい株価水準ではある。
鉄火場を離れ、あえて東証1部銘柄でテーマ株を探すならブロックチェーン関連の先駆であるアステリア<3853>や動画投稿監視で有卦に入っているイー・ガーディアン<6050>、オンライン教育の隠れ本命的ポジションに位置する朝日ネット<3834>あたりをじっくりとマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、海外で9月の中国消費者物指数、9月の中国卸売物価指数のほか、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のNY連銀製造業景況指数、9月の米輸出入物価指数など。また16日までの日程でEU首脳会議が開催される。(銀)